ロンドン為替見通し=ウクライナ停戦・欧米関税合戦など政治相場は変わらず

 本日の欧州時間でユーロドルは、引き続きメイントピックはロシア・ウクライナの停戦交渉や欧州連合(EU)と米国間の関税報復合戦の行方を見守ることになるだろう。

 11日にウクライナが「米国提案のロシアとの30日間の停戦を受け入れる用意がある」と応えたことで、ロシアとウクライナの停戦案はロシアサイドにボールが移っている。しかし、ロシアのペスコフ報道官は毎日のメディア電話会議で、この問題についてコメントを拒否するなど、ロシアがどのような動きをみせるかは不透明なままだ。

 ロシアはこれまで、紛争を終わらせるための交渉には前向きであると主張してきたが、併合したウクライナ全土の支配を確保するといった目的を達成しなければならないと常に主張してきた。よって、可能性として高いのは、プーチン露大統領がウクライナ東部のドネツィク、ルハンシク、ヘルソン、ザポリージャの各地域全体を掌握することを条件に停戦に応じるとの回答をした場合。この場合は、ウクライナはじめ欧州がこの条件を認めることはできず、停戦案が消滅する。その場合のトランプ米大統領の対応が注目されるだろう。これまでのようにプーチン露大統領に迎合し、トランプ氏がウクライナは妥協するべきと応えると再びウクライナ情勢は振出しに戻るだろう。よって、欧州リスクが再燃しユーロの売りに動きやすい。

 EUと米国の関税合戦だが、4月上旬までは様々な応酬が繰り返されると思われる。日程的にEUは追加措置を4月1日から2段階で実施する予定。その翌日2日には米国が相手国の水準まで関税をすべて引き上げる相互関税実施が予定されている。トランプ米大統領が始めたチキンゲームにEUが付き合わなくてはならず、妥協点を見出すことができるかが注目される。

 欧州からの経済指標では1月ユーロ圏鉱工業生産が発表され、講演はデギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、レーン・フィンランド中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、マクルーフ・アイルランド中銀総裁が予定されている。ただ、昨日はECB・仏・西・独・葡の各国中銀総裁が講演やパネルディスカッションに登壇したが、ユーロドルはほぼ無反応だったこともあり、市場の中心は政治相場ということは変わらないだろう。

 ・想定レンジ上限
 ユーロドル11日高値1.0947ドルが目先のめどだが、その上は昨年10月7-9日の3営業日上抜けることができなかった1.1000ドル。

・想定レンジ下限
 ユーロドル:近場では前日安値1.0876ドルを割り込んだ場合は11日安値1.0830ドル。


(松井)
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