ロンドン為替見通し=独債務見直し案の更なる進展とウクライナ停戦交渉に注目

 本日の欧州時間でユーロドルは、ドイツの債務見直し案の更なる進展、ウクライナの停戦案の動向などを確かめていくことになる。

 昨日は、ドイツの債務見直し案に難色を示していた緑の党が「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と防衛費を巡って交渉の用意がある。週内にも合意の可能性」との見解を示した。明日から始まるドイツの下院は18日まで会期が続くが、緑の党からしても新議会開催後には第二党まで躍進する極右・ドイツのための選択肢(AfD)に対しての抵抗感が根強いことで、25日に発足する新議会の前に見直し案を通過させる可能性が高い。見直し案が可決すれば、一部で米株の投資判断を中立に引き下げる一方で、欧州株は引き上げられていることもあり、中長期的に見てもユーロ買いも集まりやすいだろう。

 ウクライナの和平をめぐる交渉は流動的。昨日はウクライナが「米国提案のロシアとの30日間の停戦を受け入れる用意がある」と発表すると、和平への進展期待が高まった。ルビオ米国務長官は「ボールは今、ロシアのコートにある」と述べたように、ロシアサイドの出方次第となっている。ただ、プーチン露大統領はウクライナ東部のドネツィク、ルハンシク、ヘルソン、ザポリージャの各地域全体を掌握することを望んでいることを明らかにしているが、今回の米国の提案にはこれらのウクライナ領土についてはどのような扱いになるのかが全く発表されていない。よって、仮にロシアが停戦に合意した場合でも終戦に行きつくまではかなりの時間を要しそうだ。ただ、ユーロ相場はロシアが停戦を合意した場合は素直に買われ、拒否した場合は売られることになるだろう。

 トランプ関税については、昨日は円やオセアニア通貨はリスク選好・回避の動きで翻弄されたが、ユーロ相場への影響は限られた。市場は上述のドイツの債務見直し案とウクライナ情勢を重視していることで、本日もトランプ米大統領が直接欧州に対しての大規模関税強化を発表しない限りは、関税の発言などではユーロの反応は鈍いままか。

 なお、本日は欧州からは主だった経済指標の発表は予定されていない。仏・西・独・葡の各国中銀総裁が講演やパネルディスカッションに登壇はするが、ここ最近は中銀総裁発言で市場が動意づくことは少ないことで、余程サプライズとなる発言が出ない限りは無風に終わりそうだ。

 ・想定レンジ上限
 ユーロドル:昨日高値1.0947ドルが目先のめどだが、その上は昨年10月7-9日の3営業日上抜けることができなかった1.1000ドル。

・想定レンジ下限
 ユーロドル:近場では昨日1.09ドル台乗せ後の下押し水準1.0882ドル近辺。その下は昨日安値1.0830ドル。


(松井)
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