週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、米関税受け経済減速懸念
◆ポンド、全般英経済指標を見極めるも、弱い数字に敏感
◆加ドル、トランプ関税によるカナダ経済減速への懸念高まる
◆加ドル、米加関係の悪化受け、新首相は欧州との関係強化に
予想レンジ
ポンド円 190.00-196.00円
加ドル円 102.00-106.00円
3月24日週の展望
来週のポンドは、英国の経済指標を見極めながらの取引となりそうだ。14日発表の1月鉱工業生産や月次国内総生産(GDP)が総じて低調だったこともあり、景気減速が一段と意識される内容なら、ポンドは下向きに敏感な反応を示しそうだ。
週初には3月製造業とサービス部門の購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表予定。製造業PMIは2月改定値が46.9と速報値より改善したものの、2023年12月以来の低水準は変わらず。2月の値にも届かないようだと、景気に対する悲観的な見方が強まってしまうだろう。サービス部門PMIは景況判断の境目50を維持できるかがポイントとなる。
週半ばには2月英インフレ指標が発表される。前回1月分の消費者物価指数(CPI)は前年比3.0%上昇と予想よりも0.2ポイント加速し、10カ月ぶりの高い水準を記録した。同コア指数が3.7%、サービス部門のインフレに至っては5.0%と上向き基調だ。トランプ関税による物価上昇への警戒感が今後一層高まることが見込まれるなか、2月時点でもインフレ進行が確認された場合、ベイリー英中銀(BOE)総裁による金融政策の舵取りがより難しくなるだろう。他、週末28日には改定値ながら10-12月期GDPや2月小売売上高が発表予定。
加ドルは、トランプ関税の影響を意識した取引が続く。経済協力開発機構(OECD)が公表した世界経済見通しによれば、カナダの成長率予測は2025年・26年ともに2.0%増から0.7%増へと下方修正された。この予測は、4月から米国がカナダ産のほぼ全輸入品に25%の追加関税を課すことを前提としている。トランプ米大統領は、4月2日に広範な相互関税および追加のセクター別関税を課す方針を発表しており、今のところ貿易環境の改善は期待しにくい。
トランプ米大統領のもと米国は保護主義色を強めている。加えて、カナダを「米国の51番目の州」と挑発し続けており、米加関係の溝は深まるばかりだ。こうした状況を受け、カーニー・新カナダ首相は欧州との関係強化に動きだした。今週前半、初の外遊先として英仏を訪れ、これまで以上に密な関係を築く姿勢を示している。今後は、カナダの対米依存度の低下を市場がどう評価するかを注視する必要があるだろう。なお国内では、対米強硬姿勢を示すカーニー首相率いる与党自由党を支持する声が広がってきた。支持率上昇を追い風に、首相は4月下旬の早期総選挙を求める可能性があると一部メディアが報じている。
3月17日週の回顧
ポンド円は週前半に1月以来の高値圏194.90円台まで強含み。加ドル円も103円前半から一時105円台に乗せた。株式市場の反発を受けたリスク選好の外貨買い・円売りが進んだ。もっとも株式市場が失速すると、ポンド円は192円付近、加ドル円が103円前半まで下押した。
ポンドドルは英金融イベントも動意は高まらず、1.29ドル台を中心に上下した。加ドルは対ドルで、1.42加ドル後半から1.44加ドル付近まで加ドル安に振れる場面もあった。(了)
(越後)
◆加ドル、トランプ関税によるカナダ経済減速への懸念高まる
◆加ドル、米加関係の悪化受け、新首相は欧州との関係強化に
予想レンジ
ポンド円 190.00-196.00円
加ドル円 102.00-106.00円
3月24日週の展望
来週のポンドは、英国の経済指標を見極めながらの取引となりそうだ。14日発表の1月鉱工業生産や月次国内総生産(GDP)が総じて低調だったこともあり、景気減速が一段と意識される内容なら、ポンドは下向きに敏感な反応を示しそうだ。
週初には3月製造業とサービス部門の購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表予定。製造業PMIは2月改定値が46.9と速報値より改善したものの、2023年12月以来の低水準は変わらず。2月の値にも届かないようだと、景気に対する悲観的な見方が強まってしまうだろう。サービス部門PMIは景況判断の境目50を維持できるかがポイントとなる。
週半ばには2月英インフレ指標が発表される。前回1月分の消費者物価指数(CPI)は前年比3.0%上昇と予想よりも0.2ポイント加速し、10カ月ぶりの高い水準を記録した。同コア指数が3.7%、サービス部門のインフレに至っては5.0%と上向き基調だ。トランプ関税による物価上昇への警戒感が今後一層高まることが見込まれるなか、2月時点でもインフレ進行が確認された場合、ベイリー英中銀(BOE)総裁による金融政策の舵取りがより難しくなるだろう。他、週末28日には改定値ながら10-12月期GDPや2月小売売上高が発表予定。
加ドルは、トランプ関税の影響を意識した取引が続く。経済協力開発機構(OECD)が公表した世界経済見通しによれば、カナダの成長率予測は2025年・26年ともに2.0%増から0.7%増へと下方修正された。この予測は、4月から米国がカナダ産のほぼ全輸入品に25%の追加関税を課すことを前提としている。トランプ米大統領は、4月2日に広範な相互関税および追加のセクター別関税を課す方針を発表しており、今のところ貿易環境の改善は期待しにくい。
トランプ米大統領のもと米国は保護主義色を強めている。加えて、カナダを「米国の51番目の州」と挑発し続けており、米加関係の溝は深まるばかりだ。こうした状況を受け、カーニー・新カナダ首相は欧州との関係強化に動きだした。今週前半、初の外遊先として英仏を訪れ、これまで以上に密な関係を築く姿勢を示している。今後は、カナダの対米依存度の低下を市場がどう評価するかを注視する必要があるだろう。なお国内では、対米強硬姿勢を示すカーニー首相率いる与党自由党を支持する声が広がってきた。支持率上昇を追い風に、首相は4月下旬の早期総選挙を求める可能性があると一部メディアが報じている。
3月17日週の回顧
ポンド円は週前半に1月以来の高値圏194.90円台まで強含み。加ドル円も103円前半から一時105円台に乗せた。株式市場の反発を受けたリスク選好の外貨買い・円売りが進んだ。もっとも株式市場が失速すると、ポンド円は192円付近、加ドル円が103円前半まで下押した。
ポンドドルは英金融イベントも動意は高まらず、1.29ドル台を中心に上下した。加ドルは対ドルで、1.42加ドル後半から1.44加ドル付近まで加ドル安に振れる場面もあった。(了)
(越後)