週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、トランプ関税巡り不安定な動き
◆ポンド、英重要指標までは円やドル、ユーロ相場の動き次第
◆加ドル、トランプ関税を巡り不安定な動き続く
◆加ドル、追加利下げ予想も、先行き見通しの変化に注意
予想レンジ
ポンド円 187.50-193.50円
加ドル円 101.50-105.50円
3月10日週の展望
ポンドは、週末14日に発表される重要な英経済指標の結果を確かめるまでは、円相場やドル相場またはユーロ相場に影響を受けた値動きとなりそうだ。円絡みは金融市場全般のリスクセンチメントや日銀早期利上げに対する思惑が意識されるほか、対ドルでは米国のインフレ基調や景気動向、ユーロについてはウクライナ情勢や独財政規律の緩和方針などが材料視されるだろう。
リスクオン・オフを左右するのはやはりトランプ関税。本邦金利見通しは春闘の大幅賃上げ要求の行方次第。米国からは2月消費者・卸売物価指数が発表される。トランプ米大統領の就任後の政策が浸透したとは言えないが、まずは出発点を確認。英国も関わり合うウクライナ和平については、欧州の団結が試されている。独は財政タカ派転換を巡る政局がポイントとなる。
英指標は、14日に1月のGDPや鉱工業生産が予定されている。GDPは前月比で3カ月連続のプラス維持となるか、また、前年比マイナスが続く鉱工業生産は回復度合いが注目。
加ドルはトランプ関税を巡り不安定な動きが続くだろう。トランプ米政権は4日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を発動。その報復としてトルドー加首相は、1550億加ドル相当の米国製品に同じ関税を課す方針を発表した。ただ、米ホワイハウスはその後、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠した製品については関税の適用を1カ月間免除すると発表。関税に絡んだ報道で、加ドルは売り込まれた後に反発するなど完全に振り回された。
また、カナダでは9日、トルドー首相の後継者選びとなる与党・自由党の党首選が行われる。有力候補のカーニー・元カナダ中銀総裁やフリーランド前副首相兼財務相はともに「トランプ米大統領に対し、断固とした態度を取る」と表明。どちらが首相に就任したとしても、今年秋までの総選挙を控えて反トランプ色が一層強まるとみられ、米加の溝は埋まり難いかもしれない。
なお、12日にはカナダ中銀(BOC)が政策金利を公表する。市場予想は「現行3.00%から2.75%に引き下げ」であり、7会合連続となる利下げはサプライズなしだろう。注目は声明やマックレムBOC総裁の会見。米国との貿易摩擦の影響がどの程度までインフレ見通しに織り込まれるかに注目したい。短期金融市場では夏頃に追加の0.25%利下げ、年末にかけて更なる利下げを織り込みつつある。緩和ペースへの思惑に変化があれば、加ドルの神経質な動きが一層強まりそうだ。
3月3日週の回顧
ポンドは対円ではリスクセンチメントの強弱を受け荒い値動きだった。188円前半まで売られたところから192円半ばまで切り返すも、本邦金利先高観の広がりで190円割れまで緩んだ。対ドルでは1.25ドル後半から1.29ドル前半まで上昇。米金利低下や、独金利の急騰につれた英長期金利の上昇に後押しされた。
加ドルは売り先行も対円では102円前半で下げ止まり、104円前半まで持ち直した。ただその後は再び102円半ばまで緩んだ。対ドルでは1.45加ドル半ばの加ドル安から1.42加ドル半ばまで加ドルが買い戻された。(了)
(小針)
◆加ドル、トランプ関税を巡り不安定な動き続く
◆加ドル、追加利下げ予想も、先行き見通しの変化に注意
予想レンジ
ポンド円 187.50-193.50円
加ドル円 101.50-105.50円
3月10日週の展望
ポンドは、週末14日に発表される重要な英経済指標の結果を確かめるまでは、円相場やドル相場またはユーロ相場に影響を受けた値動きとなりそうだ。円絡みは金融市場全般のリスクセンチメントや日銀早期利上げに対する思惑が意識されるほか、対ドルでは米国のインフレ基調や景気動向、ユーロについてはウクライナ情勢や独財政規律の緩和方針などが材料視されるだろう。
リスクオン・オフを左右するのはやはりトランプ関税。本邦金利見通しは春闘の大幅賃上げ要求の行方次第。米国からは2月消費者・卸売物価指数が発表される。トランプ米大統領の就任後の政策が浸透したとは言えないが、まずは出発点を確認。英国も関わり合うウクライナ和平については、欧州の団結が試されている。独は財政タカ派転換を巡る政局がポイントとなる。
英指標は、14日に1月のGDPや鉱工業生産が予定されている。GDPは前月比で3カ月連続のプラス維持となるか、また、前年比マイナスが続く鉱工業生産は回復度合いが注目。
加ドルはトランプ関税を巡り不安定な動きが続くだろう。トランプ米政権は4日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を発動。その報復としてトルドー加首相は、1550億加ドル相当の米国製品に同じ関税を課す方針を発表した。ただ、米ホワイハウスはその後、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠した製品については関税の適用を1カ月間免除すると発表。関税に絡んだ報道で、加ドルは売り込まれた後に反発するなど完全に振り回された。
また、カナダでは9日、トルドー首相の後継者選びとなる与党・自由党の党首選が行われる。有力候補のカーニー・元カナダ中銀総裁やフリーランド前副首相兼財務相はともに「トランプ米大統領に対し、断固とした態度を取る」と表明。どちらが首相に就任したとしても、今年秋までの総選挙を控えて反トランプ色が一層強まるとみられ、米加の溝は埋まり難いかもしれない。
なお、12日にはカナダ中銀(BOC)が政策金利を公表する。市場予想は「現行3.00%から2.75%に引き下げ」であり、7会合連続となる利下げはサプライズなしだろう。注目は声明やマックレムBOC総裁の会見。米国との貿易摩擦の影響がどの程度までインフレ見通しに織り込まれるかに注目したい。短期金融市場では夏頃に追加の0.25%利下げ、年末にかけて更なる利下げを織り込みつつある。緩和ペースへの思惑に変化があれば、加ドルの神経質な動きが一層強まりそうだ。
3月3日週の回顧
ポンドは対円ではリスクセンチメントの強弱を受け荒い値動きだった。188円前半まで売られたところから192円半ばまで切り返すも、本邦金利先高観の広がりで190円割れまで緩んだ。対ドルでは1.25ドル後半から1.29ドル前半まで上昇。米金利低下や、独金利の急騰につれた英長期金利の上昇に後押しされた。
加ドルは売り先行も対円では102円前半で下げ止まり、104円前半まで持ち直した。ただその後は再び102円半ばまで緩んだ。対ドルでは1.45加ドル半ばの加ドル安から1.42加ドル半ばまで加ドルが買い戻された。(了)
(小針)