ロンドン為替見通し=欧州は3月PMI速報値を確認、トルコ発のリスクにも要警戒

 本日のロンドン為替市場では、欧州の3月製造業やサービス部門の購買担当者景気指数(PMI)速報値を確認しながらの取引か。また、先週メルトダウンしたトルコの株や債券市場の動向にも目を向け、トルコ発のリスクにも警戒しておきたい。

 仏・独・ユーロ圏の製造業とサービス部門PMI速報値は、総じて前回から改善が市場予想。注目ポイントの1つは、欧州で最大の経済規模をほこるドイツの製造業PMIか。予想47.0に沿った結果となれば3カ月連続の上昇となり、景況判断の境目となる50も視野に入ってくる。

 欧州経済の懸念材料は何と言ってもトランプ関税だが、米政権の一方的な圧力はやや弱まりつつある。来月2日に発表される広範な相互関税についてトランプ大統領は先週末、「柔軟性がある」との認識を示した。また一部報道によれば、米政府は輸入自動車への関税強化の正式発表なども2日に行わないもよう。そういったなかで欧州の景気指標が強い場合、ユーロを買い戻す動きが進むかもしれない。

 また、ウクライナ停戦を巡る交渉状況もユーロ相場の材料となり得る。23日には米国とウクライナがサウジアラビアで専門家会合を開き、本日は米露協議が行われるもよう。先行き不透明感は拭えないものの、米政府は来月20日までの停戦合意を目指しているとされ、「もし」何らかの進展が見られるようならユーロの支えとなるか。

 トルコについて、先週拘束されたイマモール・イスタンブール市長が汚職容疑で正式に逮捕され、裁判所は正式な裁判開始前に刑務所に収監することを決定した。これに対する抗議運動が広がり、国内混乱から週明けの金融市場も荒れることが予想されるなか、規制当局は株式の全銘柄の空売りを禁止した。くわえて、自社株買いルールの緩和もしている。

 なおトルコの最大野党・共和人民党(CHP)は23日、次期大統領選に向けた予備選を行い、イマモール氏が正式に党の候補者に選ばれたことを発表した。5年に1度行われる大統領選は、次回2028年が予定されている。ただし、野党側は早期選挙を要求するもよう。いずれにせよ、エルドアン大統領にとって最大の政敵と見られていた人物の逮捕に端を発した混迷は暫く収まりそうになく、トルコ資産の買いづらさは続きそうだ。

想定レンジ上限
・ユーロドル、20日高値1.0917ドル
・リラ円、18日高値4.08円

想定レンジ下限
・ユーロドル、21日安値1.0798ドルを下抜けると200日線1.0726ドル
・リラ円、20日安値3.85円を割り込むと19日につけた過去最安値3.61円

(小針)
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