ロンドン為替見通し=米露高官会談に注目、経済指標は欧州ZEWや英雇用統計など

 本日の欧州時間では、ウクライナ戦争をめぐる米露高官協議や独・英の経済指標並びに中銀総裁の講演内容などで動意づくことになりそうだ。

 本日、サウジアラビアのリヤドでルビオ米国務長官とラブロフ露外相、他両国の高官が会談を行う予定。ラブロフ外相は、この会談は両大国の関係における「異常な時期」を終わらせることを目指すと述べ、米露首脳会談の土台を築くものと位置付けている。話し合いで「和平協議が進行した」との共同声明が出た場合、ユーロ買いに反応する場面もあるか。しかしながら先週から欧米間の溝が更に深まっていることで、今回の和平協議を欧州サイドは受け入れ難いだろう。

 トランプ氏の2期目大統領就任からわずか3週間余りで、欧米が団結していた多くは崩れつつある。先週ヘグゼス米国防長官は、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟は現実的な結果ではなく、ヨーロッパの安全保障はもはや米国にとって優先事項ではないと述べた。ヴァンス米副大統領も「欧州に対する最も心配な脅威はロシアではなく、内部からの脅威だ」と発言し、欧州の現政権を非難している。

 これに欧州勢は反発し、英国のスターマー首相が「平和維持のためウクライナに英国軍を派遣する用意がある」と発言。欧州の対露政策は、これまで通りに強硬姿勢を維持するだろう。本日は米露協議の内容と欧米間の溝が埋まるのか、または深まるかなどを確かめながらユーロを取引する必要がありそうだ。

 ロシア・ウクライナ戦争の停戦交渉の注目度が高いため、最近は欧州圏の経済指標や要人の講演での市場の反応がやや限られている。ただ、指標結果や要人発言がきっかけで相場が急変することもあり、注意を怠らないようにしたい。

 本日は欧州午前には欧州圏(独・ユーロ圏)からは2月ZEW景況感指数が発表される。前月の同指標は市場予想を下回ったが、反応は限定的だった。これは市場の注目が、大きな振れを見せていた米長期金利に集まっていたからだ。今回については、結果が予想と大きくかい離した場合の市場急変リスクに注意したい。

 他、フランスからは1月消費者物価指数(CPI)の改定値も発表予定。要人講演は、ホルツマン・オーストリア中銀総裁やチポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事などが予定されている。

 英国からは、1月雇用統計が発表される。10-12月英失業率(ILO方式)では市場予想が4.5%とされ、見込み通りとなれば2021年9月以来の悪化となる。同時に平均賃金などが発表され、雇用情勢が悪化となればイングランド銀行(BOE)の追加利下げ観測が高まりそうだ。ポンドはそれらを見極めながらの取引となる。

 なお本日はベイリー英中銀(BOE)総裁がブリュッセルで講演を行う。議題が「開かれた金融市場の維持・強化」ということで、金融政策などについての言及があるかは定かではないが注目しておきたい。

 想定レンジ上限
 ・ユーロドル:1月27日につけた年初来高値1.0533ドルや日足一目均衡表・雲の上限1.0558ドル。
 ・ポンドドル:昨年12月19日高値1.2667ドル。

 想定レンジ下限
 ・ユーロドル:14日安値1.0447ドル。その下は日足一目均衡表・転換線1.0397ドル。
 ・ポンドドル:昨日安値(1.2578ドル)の下に位置する日足一目均衡表・雲の上限1.2574ドル。同水準を割り込めば、日足一目均衡表・転換線1.2484ドル。

(松井)
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