株式明日の戦略-3桁下落も終盤戻して陽線を形成 実質新年度入りで流れは変わるか

 27日の日経平均は3日ぶり反落。終値は227円安の37799円。寄り付きから200円を超える下落となり、開始直後には下げ幅を400円超に拡大。トランプ大統領の発言や米国動向などから自動車株や半導体株が強烈に売り込まれた。37500円台に入ったところでいったん切り返したが、37800円台まで戻したところでは売り直された。再度下を試したところで序盤の安値を下回らなかったことから、10時以降は下値が固くなった。後場に入ると37600円近辺での小動きが長く続いたが、引けにかけては値を戻しており、大引けが後場の高値となった。TOPIXは引けにかけてプラス圏に浮上しており、高値引けとなった。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆8400億円。業種別では保険、銀行、食料品などが上昇した一方、非鉄金属、輸送用機器、その他製品などが下落した。株主還元強化を含む中長期的な株主向け施策の方針を発表した岡三証券グループ<8609.T>が急伸。半面、今期の減収減益見通しを提示したセキチュー<9976.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1051/値下がり523と、最終的には値上がりが値下がりを大きく上回った。ファーストリテイリングが上昇。三井住友、ゆうちょ銀、東京海上など金融株の動きが良かった。地銀株に再編に絡むニュースが出てきており、名前の挙がった中で山梨中央銀行が急伸。横浜市教育委員会が「note pro」を一括導入したことを発表したnoteが一時ストップ高となるなど値を飛ばした。

 一方、トヨタ、ホンダ、マツダ、SUBARUなど自動車株の多くが大幅安。アドバンテストやディスコなど半導体株の一角が強く売られた。フジクラ、古河電工、住友電工の電線大手3社がそろって大幅安。米株安や傘下アームの急落が嫌気されたソフトバンクGが4%近い下落となった。前日大幅高となった三井金属や住友鉱山など非鉄株が反動売りに押された。

 グロース市場に2社が新規上場。ダイナミックマッププラットフォームは高い初値をつけ、終値も初値を上回った。ZenmuTech(ゼンムテック)は買いが殺到して初値は持ち越しとなった。

 日経平均はトランプ関税リスクを嫌気して3桁下落。ただ、安値37556円は9時06分と早い時間につけており、終値(37799円)では寄り付き(37750円)をきっちり上回り陽線を形成した。輸入自動車に一律25%の追加関税を課すというトランプ大統領の発表は26日の米国市場引け後に出ていることから、本日の米国株にはネガティブな影響が想定される。しかし、東京市場では材料を先に消化しているだけに、米国株が常識的な下げにとどまれば、改めての売り材料にはならないと思われる。

 あすは外部環境がニュートラルでも日経平均には300円程度の配当落ち影響があり、3月決算銘柄は理論的には配当や優待に手厚い銘柄ほど、見た目の水準は切り下がる。それだけに、寄った後に買われる銘柄が多いかどうかが注目される。週初から3月決算銘柄の動きがパッとしなかったように映るだけに、実質新年度入りで流れが良い方に変わってくる展開に期待したい。
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