欧州マーケットダイジェスト・10日 株大幅高・ユーロ高・スイスフラン高

(10日終値:11日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.74円(10日15時時点比▲1.87円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.26円(△1.21円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1210ドル(△0.0225ドル)
FTSE100種総合株価指数:7913.25(前営業日比△233.77)
ドイツ株式指数(DAX):20562.73(△891.85)
10年物英国債利回り:4.643%(▲0.136%)
10年物独国債利回り:2.580%(▲0.011%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)
       <発表値>    <前回発表値>
3月ノルウェー消費者物価指数(CPI)
(前月比)  ▲0.7%       1.4%
(前年比)   2.6%       3.6%

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ドル円は軟調。米政権による関税を巡り中国は米国に譲歩しない姿勢を維持。米中の貿易戦争激化への警戒感が根強い中、時間外のダウ先物や日経平均先物の下落を背景に円買い・ドル売りが先行した。NYの取引時間帯に入ると、ドル安・米株安・米債券安の「トリプル安」の様相が強まった。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時100.76と昨年10月以来の低水準を付けたほか、ダウ平均は一時2100ドル超下落した。また、米長期金利の指標となる米10年債利回りは4.37%台まで上昇した。ドル円は1時前に一時144.02円と日通し安値を更新した。
 なお、米ホワイトハウスは「中国からの輸入品に課す追加関税率が合計で145%になる」と発表。「相互関税」として125%、合成麻薬フェンタニルの流入を理由に課している関税20%で145%になるという。9日時点では発効済み分も合わせて125%と説明していた。

・ユーロドルは大幅高。米中の貿易戦争激化への警戒感が根強い中、安全資産とされるスイスフランや円に対してドル売りが進むと、ユーロに対してもドル売りが先行した。NY市場に入り、3月米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことが伝わると、発表直後こそドル買いが入ったものの、そのあとは再びドル売りが優勢に。3日の高値1.1144ドルを上抜けると一時1.1229ドルと2023年7月以来約1年9カ月ぶりの高値を更新した。
 なお、欧州連合(EU)は対米報復措置の発動保留を決定。米中2国間の貿易戦争に発展した形となっている。市場では「中国は本日、予定通り米国からの全輸入品に84%の追加関税の適用を開始したが、追加の報復措置も検討しているようで、マーケットの動揺は続いている」との声が聞かれた。

・スイスフランは全面高。対ドルでは一時0.8250スイスフラン、対ユーロでは0.9246スイスフラン、対円では175.36円まで値を上げた。トランプ米政権による関税政策が世界景気の悪化を招くとの過度な警戒感は薄れたものの、米中貿易摩擦激化への懸念は根強く、安全資産とされるスイスフランに買いが集まった。

・ユーロ円は堅調。ドル円の下落につれた売りが出た半面、ユーロドルの上昇につれた買いが入ったため、相場はじり高の展開となった。3時過ぎに一時162.35円と日通し高値を付けた。

・ロンドン株式相場は大幅反発。トランプ米大統領が9日に「一部の国・地域に対して相互関税の上乗せ分を90日間一時停止する」と発表すると、世界景気の減速懸念がいったん和らぎ、株買いが広がった。HSBCやバークレイズなど金融株が買われたほか、ロールス・ロイス・ホールディングスやレレックスなど資本財サービス株が値上がりした。

・フランクフルト株式相場は大幅に反発。米相互関税の上乗せ分が90日間一時停止となったことを受けて、前日の米国株相場が急騰。本日の欧州の主要株式相場も軒並み上昇した。フランスの株価指数は3.83%高、イタリアは4.72%高、スペインは4.32%高となった。

・欧州債券相場は上昇。関税を巡る米中対立が続く中、相対的な安全資産とされる国債には買いが入りやすかった。

(中村)
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