東京為替見通し=ドル円、3月CPIをまず確認 本日グッドフライデーで動きづらい展開か

 17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、トランプ米大統領による「パウエルFRB議長を一刻も早く解任すべきだ」との投稿やダウ平均の700ドル超下落を受けて141.91円付近まで下落した後、142.72円付近まで持ち直した。ユーロドルは欧州中央銀行(ECB)理事会での政策金利0.25%引き下げにも関わらず、1.1336ドルから1.1386ドルでの狭い範囲内での推移にとどまった。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、まずは3月の全国消費者物価指数(CPI)を確認。ただしその後は、主要な海外市場がグッドフライデー休場のため動きづらい展開が予想される。

 8時30分発表の3月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は前年比+3.2%予想と2月同比+3.0%から上昇見込み。3月までは、政府の電気・ガス料金の補助金により0.3%程度ほど低く抑えられている。そのため日本の物価動向の見極めは、来週発表の4月全国CPIの先行指標である同月東京都区部CPIを待つことになる。

 植田日銀総裁は昨日、「米関税政策を巡る不確実性は急速に高まっている。内外の経済・物価・市場動向を丁寧に確認していく」と述べていた。不確実性が払拭されない限り追加利上げを先送りする可能性を示唆していた。

 昨日の第1回日米貿易交渉は、欧米のメディアが「関税交渉の試金石」「実験用のモルモット」「危険を事前に知らせる炭鉱のカナリア」などと評して注目度が高かった。しかし、警戒されていたような貿易不均衡是正に向けたドル安・円高といった「プラザ合意」的な為替協議はならず。今後は、来週の日米財務相会談や月内に予定されている第2回日米貿易交渉に注目していくことになる。

 なお赤沢経済再生相は為替協議はなかったと述べ、「新プラザ合意」的な構想に対しては否定的な見解を示していた。

 昨日の赤沢経済再生相とトランプ米大統領との会談では、安全保障面での在日駐留米軍の思いやり予算増額や防衛費増額などが話し合われたもよう。「ミラン論文」のシナリオ通りに、関税と為替、外交安保がリンクされていることが窺える。ミランCEA委員長は先日、「米国の巨額の貿易赤字が製造業の能力を損なっており、相互関税などで貿易不均衡を是正し、国内製造業の強化を図ることは国家安全保障に重要」との認識を示していた。

 また昨日は、トランプ米大統領が「パウエルFRB議長を一刻も早く解任すべきだ」と投稿。トランプ大統領は解任について非公式に協議したとの報道が伝えられた。かつてボルカー第12代FRB議長は、(トランプ氏が尊敬している)レーガン第40代米大統領による介入を嫌気して辞表を叩きつけたこともあるため、今後の関連報道には警戒しておきたい。

(山下)
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