NYマーケットダイジェスト・23日 株高・債券高・ドル高・金大幅安

(23日終値)
ドル・円相場:1ドル=143.45円(前営業日比△1.88円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=162.35円(△0.64円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1316ドル(▲0.0105ドル)
ダウ工業株30種平均:39606.57ドル(△419.59ドル)
ナスダック総合株価指数:16708.05(△407.63)
10年物米国債利回り:4.38%(▲0.02%)
WTI原油先物6月限:1バレル=62.27ドル(▲1.40ドル)
金先物6月限:1トロイオンス=3294.1ドル(▲125.3ドル)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(各市場の動き)
・ドル円は続伸。前日のトランプ米大統領の発言をきっかけに米連邦準備理事会(FRB)の独立性を巡る懸念が後退したほか、米ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙が「米政府は貿易戦争の緩和に向けて対中関税の引き下げを検討」「対中関税は50-65%に引き下げられる可能性」と報じると、米中貿易摩擦が緩和されるとの期待が高まった。米国株相場の上昇とともに全般ドル買いが先行した。3月米新築住宅販売件数が72.4万件と予想の68.5万件を上回ったことも相場の支援材料。
 ベッセント米財務長官が「米国は引き続き強いドル政策を維持」と述べたほか、「関税を巡る日米交渉で特定の通貨目標を求める考えはない」「日本が先進7カ国(G7)の合意を尊重することを期待」と発言すると円売り・ドル買いが活発化。アジア時間に付けた143.22円を上抜けて一時143.57円まで上値を伸ばした。市場では「日米財務相会談での円安是正議論への警戒感があっただけに、ベッセント氏の発言で警戒感が和らいだ」との声が聞かれた。

・ユーロドルは続落。欧州市場序盤に一時1.1440ドルと日通し高値を付ける場面もあったが、NY市場に入ると上値が重くなった。米中貿易摩擦が緩和されるとの期待から全般ドル買いが優勢になると、5時30分前に一時1.1311ドル付近まで下落し、アジア時間に付けた日通し安値1.1308ドルに近づいた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時99.94まで上昇した。
 なお、FRBはこの日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)で「米経済活動は前回報告からほとんど変化がなかったが、国際貿易政策を巡る不確実性には全体に広がりが見られた」と総括。また、全ての地区で物価は上昇し、6地区で「控えめ」、6地区で「緩やか」と報告した。

・ユーロ円は反発。日本時間夕刻に一時161.19円と日通し安値を付けたものの、欧米市場に入ると買い戻しが優勢となった。株価の上昇に伴う円売り・ユーロ買いが出たほか、ドル円の上昇につれた買いが入った。5時前に一時162.46円とアジア時間に付けた日通し高値に面合わせした。

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸。前日のトランプ米大統領の発言をきっかけにFRBの独立性を巡る懸念が後退したほか、関税を巡る米中対立への警戒感が和らいだことで投資家心理が改善。主力株に買いが集まり、指数は一時1100ドル超上昇した。ただ、ベッセント米財務長官が「トランプ米大統領から対中関税引き下げの一方的な提案はない」と発言すると伸び悩んだ。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も続伸した。

・米国債券相場で長期ゾーンは続伸。関税を巡る米中対立への警戒感が後退したほか、パウエルFRB議長解任を巡る懸念が緩和。米株やドル、米長期債が上昇するなど、米資産を買い戻す動きが続いた。

・原油先物相場は反落。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の複数の加盟国が5月の会合で増産の承認を求める方針であると報じられ、需給が緩むとの思惑で売りに押された。
 この日、エネルギー情報局(EIA)が発表した週間原油在庫統計はまちまち。原油在庫は24.4万バレルの積み増しと予想外の増加となった一方で、ガソリン在庫は447.6万バレルの取り崩しと予想以上に減少した。

・金先物相場は続落。トランプ米政権が対中関税の引き下げを匂わせるなど強硬姿勢を軟化させたことで、米中の貿易摩擦激化の懸念が後退した。また、FRB議長の更迭騒動もいったん落ち着いたことで投資家心理は改善し、逃避資産の金は利益確定売りに押された。

(中村)
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