ロンドン為替見通し=米中合意の詳細に期待膨らむか、ポンドは英MPC委員の講演に注目

 本日のロンドン為替市場では、週末にスイスで行われた閣僚級の米中貿易協議を受けたリスクセンチメントを眺めながらの取引か。また、ロシアとウクライナの和平交渉に関する報道にも注目しておきたい。ポンドは、複数の金融当局者の講演内容を見極めることになる。

 米中交渉の終了後、ベッセント米財務長官は「確かな進展があった」と述べ、グリア米通商代表部(USTR)代表も「2日間の協議は非常に建設的だった」と語った。中国側も何副首相が「重要なコンセンサスに達した」と発言している。合意内容の詳細は本日12日に公表され、それまでは市場の期待が膨らみ続けそうだ。しかしながらその期待が行き過ぎてしまうと、内容次第では材料出尽くし感という動きもあり得る。

 プーチン露大統領は11日、ウクライナとの停戦交渉について、露ウの大統領がトルコで直接協議することをウクライナ側に提案。これに対し、ゼレンスキー大統領は「15日にトルコで待つ」と応じる姿勢を見せた。早朝に緩んだユーロスイスフランも、交渉開始を評価してか0.93フラン後半と先週高値圏まで持ち直している。ただし、プーチン大統領はウクライナ側が要求する無条件の停戦に後ろ向きであり、和平への楽観論は高まりづらいかもしれない。

 イングランド銀行(英中銀、BOE)金融政策委員会(MPC)メンバーの講演は、ロンバルデリ副総裁とグリーン委員が欧州午前、マン委員とテイラー委員が欧州午後に予定されている。前者2人は、先週の英MPCで決定された0.25%利下げを支持、後者はそれぞれ据え置きと0.50%利下げを主張した。このなかではタカ派とされるグリーン氏や、2月は決定以上の利下げ幅に投票し、今回は逆に利下げに反対したマン氏の見解が注目されそうだ。

 グリーン氏は先月の講演で、トランプ関税はディスインフレリスクを示唆と述べた。英国は米国に対して追加関税を課さなかったことで、アジアや欧州から安価な製品が流れこんでくるというのがその理由だ。英米貿易協定が結ばれた後でもあり、新たな見解が同氏から示されるかに注視したい。マン氏は、同じく据え置きに投票したピルMPC委員と同様に「賃金上昇率への警戒感」を示すかがポイントの1つか。

想定レンジ上限
・ユーロドル、9日高値であり日足一目均衡表・転換線も位置する1.1293ドル
・ユーロスイスフラン、4月25日高値0.9447フラン
・ポンドドル、6日高値1.3402ドル

想定レンジ下限
・ユーロドル、ピボット・サポート2の1.1151ドル
・ユーロスイスフラン、6日安値0.9297フラン
・ポンドドル、4月17日安値1.3203ドル


(小針)
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