NY株見通し-今週は米中貿易協議の詳細と物価指標に注目

 今週のNY市場は米中貿易協議の詳細と物価指標に注目。先週はダウ平均が68.05ドル安(-0.16%)、S&P500が0.47%安、ナスダック総合が0.27%安とそろって3週ぶりに反落した。前週まで大幅に2週続伸した米国株は、週前半は貿易交渉を巡る不透明感を嫌気され軟調に推移したが、水曜日に結果が公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)がおおむね想定内の内容だったことや、トランプ政権がバイデン政権時代のAI半導体の輸出規制を撤廃することを検討しているとの報道や、米国と英国の貿易交渉が大枠で合意に至り、初めて貿易協議の具体的進展が見られたことが好感されたことが相場の下支えとなった。週末にスイスで行われる米中貿易交渉への期待も続いたが、トランプ米大統領が「対中関税は80%が適切だろう」とSNSに投稿し、事前に報道された60%以下を上回る関税率を示したことが重しとなった。

 今週は週末に行われた米中貿易交渉の詳細に注目が集まる。10日、11日に行われた米中閣僚級協議では米国側がベッセント財務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表が、中国からは経済政策担当の何立峰副首相が出席した。ベッセント米財務長官は「確かな進展があった。協議は生産的だった」と語ったが、詳細はNY時間月曜日の朝(日本時間月曜日夜)に発表されるとした。米国株は貿易交渉の進展期待を相当程度織り込んでいるため、米中協議で具体的なポジティブ・サプライズの有無が焦点となりそうだ。経済指標では火曜日の4月消費者物価指数のほか、木曜日に4月生産者物価指数と4月小売売上高が発表され、足もとのインフレ動向や消費動向への関税の影響が注目される。

 今晩の米経済指標・イベントは4月財政収支など。企業決算はフォックス、NRGエナジー、引け後にサイモン・プロパティーなどが発表予定。(執筆:5月12日、14:00)
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