週間為替展望(豪ドル/ZAR)-NZドル、中銀総裁は追加利下げに慎重姿勢

◆豪ドル、外部要因次第の展開が継続
◆NZドル、RBNZ総裁は追加利下げに慎重姿勢
◆ZAR、SARBは新たなインフレ目標を検討

予想レンジ
豪ドル円 91.00-96.00円
南ア・ランド円 7.90-8.35円

6月2日週の展望
 豪ドルは神経質な動きが予想される。来週は6月3日に1-3月期経常収支や5月19-20日開催分の豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨が公表されるほか、6月4日に1-3月期国内総生産(GDP)、6月5日に4月貿易収支の発表が予定されている。RBA議事要旨や四半期GDPなどの重要イベントが控えているものの、足もとの豪ドル相場は豪ドル独自の材料で動くことは少なく、米関税政策などを巡る市場全般のリスク志向に左右されている。来週も基本的には外部要因に振らされることになるだろう。また、クロス円に関しては本邦財務省による国債発行計画の行方や長期金利の動向にも注目が集まっており、円相場を動意づける材料として引き続き注意しておきたい。

 隣国のニュージーランド(NZ)では、NZ準備銀行(RBNZ)が市場予想通りに0.25%の利下げを決定。RBNZが示したフォワードガイダンスによると、年末までに金利は2.92%まで低下する見通しとなっており、2月時点の3.14%から下方修正された。新たな予測に基づくとRBNZは年内にあと1回の利下げ余地を残していることになる。

 ただ、ホークスビーRBNZ総裁はその後の会見で「政策当局は必ずしも更なる引き下げに傾いているわけではなく、次回会合での方向性に明確なバイアスは持っていない」「金利は中立水準に近い」などと述べており、追加利下げについては慎重な見方を示している。RBNZによる金融緩和サイクルの終わりが近づいているのかどうか、今後は当局者の発言や経済指標の動向などを確認しながら注意深く見極めていく必要があるだろう。

 南アフリカ・ランド(ZAR)も神経質な動きが予想される。米関税政策を巡る不透明感から市場全般のリスク選好の行方も定まっていないため、ZARは来週以降も関連報道などに振らされる不安定な展開となるだろう。

 なお、南ア準備銀行(SARB)は今週の金融政策決定委員会(MPC)で0.25%の利下げを決定した。SARBは成長・インフレ見通しを下方修正したほか、インフレ目標に関して現在の3-6%は「高すぎると同時に範囲が広すぎる」として、現在の目標レンジ下限に相当する3%のインフレ目標を掲げるシナリオも検討したことが明らかになった。このシナリオでは政策金利は現状のベースラインのように7%を上回る水準を維持するのではなく6%弱に低下するとしており、今後設定される新たなインフレ目標の下で追加緩和が進む可能性もありそうだ。

5月26日週の回顧
 豪ドルは対ドル・対円でともに方向感を欠いた。ドルや円相場など外部要因に振らされる展開となったが、週を通じて方向感は定まらず、神経質に上下に振れた。ZARは底堅い展開となり、対ドルでは昨年12月以来のZAR高水準を更新。対円でも値幅は限られたものの、徐々に下値を切り上げる動きとなった。(了)

(執筆:5月30日、8:30)
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