週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪・NZ、両国の政策金利に注目
◆豪ドル・NZ、両国中銀は利下げ予想の中、声明文に注目
◆豪ドル、米関税賦課免除されれば下支えに
◆ZAR、トランプ米政権の政治圧力が重しに
予想レンジ
豪ドル円 95.00-98.50円
南ア・ランド円 7.80-8.40円
2月17日週の展望
豪ドルは神経質な動きになりそうだ。17-18日に豪準備銀行(RBA)理事会が行われるが、10-12月期消費者物価指数(CPI)が大幅に低下したことにより、25bp利下げし、政策金利を4.10%まで引き下げるとの予想が濃厚。注目は声明文で、前回は「合理的な時間枠内でインフレを持続的に目標に戻すことが理事会の最優先事項」としたが、ハト派寄りの内容を継続するかが注目される。また、発表翌日の19日には隣国のニュージーランド(NZ)でもNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)が開かれる。NZは高失業率と低成長(GDPは7-9月期-1.0%)などが経済の重しとなっており、3会合連続で50bpの利下げ予想が優勢になっている。両国の金融政策の方向性に差異があれば豪ドル/NZドルが動意づくだろう。
また、RBA理事会通過後も、豪州国内からは19日には10-12月期賃金指数、20日に1月雇用統計が発表されるなど、注目イベントが目白押しだ。更に21日にはブロックRBA総裁をはじめ、ハウザーRBA副総裁、経済動向を担当しているハンターRBA総裁補佐、金融市場担当のケントRBA総裁補佐、金融システム担当のジョーンズRBA総裁補佐が揃って議会証言を行う。RBA理事会直後の議会証言となることで、今後の中銀の方向性を占う上でも注目度が増すだろう。
また、引き続きトランプ米大統領の関税措置にも注目。今週に入りトランプ米大統領は鉄鋼とアルミニウムに対する25%関税賦課を決定したが、現時点ではすべての国が対象になっている。ただ、長年にわたって米国は豪州に対して貿易黒字国でもあり、豪州が免税措置の対象となる可能性もある。豪州にとっては米中間の関税引き上げ合戦で、豪州の主要輸出商品の鉄鉱石や石炭、天然ガスなどの資源・エネルギーや、農産物の需要が縮小していることが景気の足かせとなっているが、米国の関税賦課から逃れられた場合には豪ドルは買戻されることになるだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が重くなりそうだ。南アからは19日に1月のCPI、12月小売売上高が発表される。ただ、南アと米国の関係悪化が市場の注目となっているなかでは、よほど結果が予想とかい離しない限り影響は限られるだろう。南ア・米関係については、引き続きトランプ米政権が南アに対して内政干渉も問わない姿勢をとっている。アパルトヘイト政策撤廃前の価値基準を押し付けられようとしているが、南アとしても、決して米国の要求をのむことはできず、両国の関係改善の見通しが立たないことがZARの重しになる。なお、19日に予定されているゴドンワナ南ア財務相の2025年度国家予算演説には注目したい。
2月10日週の回顧
豪ドルは対ドルでは横ばい、対円では円安が進行したことで上昇した。ロシアとウクライナの停戦期待もありリスク選好の動きが豪ドル円を支えた。ZARも対ドルではほぼ横ばいだったが、対円では下落後に反転した。トランプ米大統領が関税賦課に署名すると、ランド円は一時年初来安値を更新した。ただ、その後はドル円の上昇で急反発した。(了)
(松井)
◆豪ドル、米関税賦課免除されれば下支えに
◆ZAR、トランプ米政権の政治圧力が重しに
予想レンジ
豪ドル円 95.00-98.50円
南ア・ランド円 7.80-8.40円
2月17日週の展望
豪ドルは神経質な動きになりそうだ。17-18日に豪準備銀行(RBA)理事会が行われるが、10-12月期消費者物価指数(CPI)が大幅に低下したことにより、25bp利下げし、政策金利を4.10%まで引き下げるとの予想が濃厚。注目は声明文で、前回は「合理的な時間枠内でインフレを持続的に目標に戻すことが理事会の最優先事項」としたが、ハト派寄りの内容を継続するかが注目される。また、発表翌日の19日には隣国のニュージーランド(NZ)でもNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)が開かれる。NZは高失業率と低成長(GDPは7-9月期-1.0%)などが経済の重しとなっており、3会合連続で50bpの利下げ予想が優勢になっている。両国の金融政策の方向性に差異があれば豪ドル/NZドルが動意づくだろう。
また、RBA理事会通過後も、豪州国内からは19日には10-12月期賃金指数、20日に1月雇用統計が発表されるなど、注目イベントが目白押しだ。更に21日にはブロックRBA総裁をはじめ、ハウザーRBA副総裁、経済動向を担当しているハンターRBA総裁補佐、金融市場担当のケントRBA総裁補佐、金融システム担当のジョーンズRBA総裁補佐が揃って議会証言を行う。RBA理事会直後の議会証言となることで、今後の中銀の方向性を占う上でも注目度が増すだろう。
また、引き続きトランプ米大統領の関税措置にも注目。今週に入りトランプ米大統領は鉄鋼とアルミニウムに対する25%関税賦課を決定したが、現時点ではすべての国が対象になっている。ただ、長年にわたって米国は豪州に対して貿易黒字国でもあり、豪州が免税措置の対象となる可能性もある。豪州にとっては米中間の関税引き上げ合戦で、豪州の主要輸出商品の鉄鉱石や石炭、天然ガスなどの資源・エネルギーや、農産物の需要が縮小していることが景気の足かせとなっているが、米国の関税賦課から逃れられた場合には豪ドルは買戻されることになるだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が重くなりそうだ。南アからは19日に1月のCPI、12月小売売上高が発表される。ただ、南アと米国の関係悪化が市場の注目となっているなかでは、よほど結果が予想とかい離しない限り影響は限られるだろう。南ア・米関係については、引き続きトランプ米政権が南アに対して内政干渉も問わない姿勢をとっている。アパルトヘイト政策撤廃前の価値基準を押し付けられようとしているが、南アとしても、決して米国の要求をのむことはできず、両国の関係改善の見通しが立たないことがZARの重しになる。なお、19日に予定されているゴドンワナ南ア財務相の2025年度国家予算演説には注目したい。
2月10日週の回顧
豪ドルは対ドルでは横ばい、対円では円安が進行したことで上昇した。ロシアとウクライナの停戦期待もありリスク選好の動きが豪ドル円を支えた。ZARも対ドルではほぼ横ばいだったが、対円では下落後に反転した。トランプ米大統領が関税賦課に署名すると、ランド円は一時年初来安値を更新した。ただ、その後はドル円の上昇で急反発した。(了)
(松井)