週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪・NZ、中銀の方向性の違いが明白に

◆豪ドル、RBAのタカ派スタンス変わらず堅調地合い
◆豪ドル、週末発表予定の中国財政政策に警戒
◆NZドル、CPIの結果次第では更なる大幅利下げの可能性も

予想レンジ
豪ドル円 98.00-103.00円
南ア・ランド円 8.20-8.70円

10月14日週の展望
 豪ドルは底堅い展開となりそうだ。9月に行われた豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が公表されたが、「他国の金利と同調して動く必要はない」と記された。RBAは他の主要中央銀行が利下げサイクルに乗り出しているが、同調した利下げ期待を弱めようとしている。ハウザーRBA副総裁も講演で「コアインフレは目標に達する」と予想する反面で「インフレは持続する」と予想し、「インフレとの戦いでRBAは強固な姿勢を維持すべき。インフレ率が高止まりした時には行動するだろう」と引き続きタカ派姿勢を堅持した。米国をはじめ他国と比較するとRBAの利下げは遅れ、早くても年末か年始との予想が多く、金融政策の方向性の違いが豪ドルの支えとなるだろう。

 来週は豪・NZ投資コンフェレンスでハンターRBA総裁補佐が講演を行う予定。経済指標では17日に注目度の高い9月の雇用統計が発表される。8月の雇用統計は新規雇用者が市場予想を上回ったが、非正規雇用の大幅増に支えられたものだった。正規雇用が増加するかに注目したい。

 また、中国の株式市場の動向にも注目だろう。国慶節の大型連休前に発表された様々な景気刺激策を受けて大幅に上昇していた中国株式市場だが、徐々に上値が限られてきている。経済政策全般の立案を担う国家発展改革委員会(発改委)が8日に公表した景気対策は期待外れとなったが、財政政策に関して12日に記者会見が開かれる予定。追加景気対策への期待が残されている。結果次第では、リスク許容度に敏感に反応する豪ドルが週初から大きく動く可能性が高い。

 NZドルの動きも目が離せない。今週50bpの利下げを行ったことを受けて大幅安になったが、16日に発表される7-9月期消費者物価指数(CPI)に要注目。また、14日にはオアRBNZ総裁、15日にはホークスビーRBNZ副総裁、16日にはシルクRBNZ総裁補佐がそれぞれ講演を予定している。市場では既に11月会合でも50bpの利下げ予想が出ているが、CPIの結果や当局の発言次第では、NZドルは更に下げ幅を探る展開もありそうだ。特にRBAとRBNZの両中銀の方向性の違いは明白。豪ドル買い・NZドル売りがさらに進むことになるのかを注視している。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅い動きとなるか。米金利の上昇でドル買い・ランド売りが進んでいるが、南アの政治や経済への期待感が高い。対円では今週も7月中旬以来の水準まで強含んでいる。来週は南アからは16日に8月の小売売上高が発表される程度と、市場を積極的に動意づける材料に欠けていることで、株式市場や米国などの経済指標に左右される展開になりそうだ。

10月7日週の回顧
 豪ドルは方向感のない動き。週初には豪ドル円は7月後半以来の101円台まで強含んだが、徐々に伸び悩んだ。豪ドル/ドルは米金利の上昇で上値が抑えられた。一方、RBNZの大幅利下げを受けて、豪ドル/NZドルでは堅調な動きだった。ZARは対円では一時7月中旬以来となる8.55円まで強含んだ。ただ、米金利の上昇を受け、対ドルでは9月後半以来となるドル買い・ZAR売りが進んだこともあり、ZAR円の上値も抑えられた。(了)
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