週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル/NZドル、上昇余地あり

◆豪ドル、インフレ基調の中、雇用統計が強ければ利上げ期待も
◆豪・NZ両中銀の方向性分かれるなか豪ドル/NZドルに上昇余地あり
◆ZAR、海外からの投資流入期待で堅調

予想レンジ
豪ドル円 106.00-110.00円
南ア・ランド円 8.70-9.10円

7月15日週の展望
 豪ドルは底堅い動きと予想する。半期に一度行われるパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言や、6月の米消費者物価指数(CPI)が予想比を下振れたことを受けて、米金利が急低下。CMEグループの「フェドウォッチ」では、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率は93%弱まで上昇した。また、年末までには米国の2回の利下げを97%前後まで織り込んだ。一方で、豪州は執拗なインフレに悩まされている。基調的インフレが上昇傾向を辿っていることで、米豪の金融政策の方向性の違いが豪ドルを底堅くさせるだろう。また、豪ドル円は介入警戒感があるが、円安を止める手段に乏しく、更なる上値余地もありそうだ。

 豪ドルは18日に発表される6月雇用統計の結果が良好だった場合は、上値を更に追う展開になりやすい。5月の統計では、失業率が前月の4.1%から4.0%へ低下し、新規雇用者数が2カ月連続で約4万人増加。更に常勤雇用者も大幅に増えた。インフレ傾向が続いている中で、2カ月連続で雇用情勢が好結果だった場合は、インフレ動向次第では豪準備銀行(RBA)が次回の理事会(8月5-6日)で利上げに舵を切る可能性もある。なお、雇用統計以外では17日に7月のウエストパック景気先行指標が発表される。

 一方で、NZドルは軟調な動きになりそうだ。10日のNZ準備(RBNZ)・金融政策委員会(MPC)は予想通り政策金利を5.50%に据え置いたが、声明文で「ヘッドライン・インフレ率は今年後半に1-3%の目標範囲内に戻ると予想」との見解を示した。ハト派的なRBNZの姿勢と、RBAとの金融政策の方向性の違いが明確になったことから、2022年10月以来の豪ドル高・NZドル安が進んだ。RBNZが年後半にも利下げするとの予想も高まり、来週もNZドルの上値は重くなりそうだ。なお、NZからは22日に6月貿易収支、26日に7月ANZ消費者信頼感指数が発表される。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は堅調な動きを予想。親ビジネスの民主同盟(DA)の参加で国民統一政府(GNU)が船出した。アフリカ民族会議(ANC)の単独政権時では、汚職や既得権益の確保が蔓延り、国営企業改革などが遅々として進まなかったが、GNUにはこれらの改善が期待されている。海外投資家が南アへの投資比率を高める可能性が高まっていることもあり、DAがGNUを離脱しない限りZARは堅調地合いを維持しそうだ。来週は18日に南アフリカ準備銀行(SARB)が政策金利を発表する。南アが利下げへ舵を切るのは来年前半になるとの予想が多く、当面は金融政策によってZARが大きく動意づくことはないだろう。

7月8日週の回顧
 豪ドルは強含んだ。米金利の低下で対ドルでは1月以来の水準まで強含み、対円では33年ぶりとなる109円台まで上昇した。もっとも、6月米CPI後は急落。12日早朝には一時106円台まで値を下げる場面もみられた。ZARは対ドルでは米金利低下で18ZARを割り込んだ。対円では一時年初来高値に接近したが、円買い介入観測などもあり上値が抑えられた。(了)
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