週間為替展望(豪ドル/ZAR)-NZドル、RBNZの金融政策に注目

◆豪ドル、豪予算案では今年中にインフレ目標に収まるとの見方
◆NZドル、RBNZの金融政策に注目
◆ZAR、インフレ指標見極めも総選挙を控えて様子見ムード

予想レンジ
豪ドル円 101.00-105.00円
南ア・ランド円 8.40-8.70円

5月20日週の展望
 豪ドルは神経質な展開となりそうだ。今週は円の先安観を背景にした円売りや米利下げ期待を手掛かりにしたドル売り、または、さえない豪雇用統計を受けた豪ドル売りなどが交錯し、豪ドルは対ドル・対円でともに不安定な動きとなったため、改めて方向感を探る必要があるだろう。特に対円では来週も値幅を伴った動きとなることが予想され、相場が落ち着きを取り戻すまでは慎重な姿勢で臨む必要がある。

 また、今週は豪政府が発表した年次予算案も注目を集めた。予算案ではインフレ対策として光熱費と家賃の軽減措置が盛り込まれ、国内全世帯に対する300豪ドルの光熱費軽減策によってインフレ率が約0.5%程度押し下げられると想定。豪財務省の試算によるとインフレ率は今年中に豪準備銀行(RBA)の目標である2-3%に戻る可能性があるという。これに対してRBAが今月公表した直近の見通しによると、インフレ率は今年の後半に再加速して4%に近づき、インフレ目標内に収まる時期を2025年末としている。

 豪予算案のインフレ抑制効果についてはエコノミストなどから懐疑的な声も聞かれているが、問題はRBAが今回の予算案についてどう考えるかだろう。今後はブロックRBA総裁など中銀当局者の見解を確認し、RBAの金融政策方針を改めて探る必要がありそうだ。なお、来週は21日にRBAの理事会議事要旨(6-7日開催分)が公表されるが、豪予算案の発表前に実施された会合であるため、豪ドル相場への影響は限定的となりそうだ。

 隣国のニュージーランド(NZ)では、22日にNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策が決定される。市場では5.50%での金利据え置きが見込まれており、声明文でも大きな変更はないと予想されている。年内に利下げが実施されるとの期待も根強く残っているようだが、RBNZがこれまで通り2025年まで利下げはないとの姿勢を維持するか注目しておきたい。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は様子見ムードが強まりそうだ。来週は22日に4月消費者物価指数(CPI)の発表が控えており、同国のインフレ動向について確認しておく必要がある。ただ、翌週の29日に南ア総選挙、30日に南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会が予定されているため、基本的にはイベントを前に手控えムードが強まる可能性が高い。

5月13日週の回顧
 豪ドルは対ドル・対円でともに買い先行となったが、豪雇用統計がさえない結果となったことを受けて、以降は伸び悩んだ。特に対円では米消費者物価指数(CPI)などを手掛かりにしたドル円の急落とその後の反発につれる格好となり、値幅を伴って上下した。

 ZARは対ドルを中心に堅調に推移。プラチナ価格の上昇などがZAR買いを誘い、対ドルでは年初来の高値を更新した。対円でもドル円の下落につれて伸び悩む場面があったが、総じて底堅い動きとなり、2022年6月以来の高値をつけている。(了)


(松井)
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