週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、月次CPIに注目

◆豪ドル、5月月次CPIに注目
◆豪ドル、欧州政治不安による株価の動きに警戒
◆ZAR、海外からの投資流入で堅調地合い維持か

予想レンジ
豪ドル円 104.50-108.00円
南ア・ランド円 8.65-9.10円

6月24日週の展望
 豪ドルは底堅い動きと予想する。米金利がやや低下していることでドルが重いほか、欧州ではフランスを中心とした政局によるユーロへの投資リスクが台頭。円については、引き続き投資家による売り意欲が旺盛のなか、他通貨と比較して豪ドルは消去法でも買われやすい状況だ。

 今週行われた豪準備銀行(RBA)理事会では、政策金利は予想通り据え置き、声明文では「インフレの上振れリスクに対して警戒」と発表した。また、ブロックRBA総裁は会見で「利上げについても議論した」とタカ派姿勢を示した。RBAがタカ派の中で来週注目されるのは、26日に発表される5月の月次消費者物価指数(CPI)。4月のCPIが、昨年11月以来の水準となる3.6%まで上昇し、RBAのインフレ目標レンジ(2-3%)から再び遠ざかった。この状況下で4月に続き5月も再びインフレの高止まりが確認された場合には、豪州は日本同様に利上げの可能性の高い国となり、豪ドルが支えられそうだ。オセアニア4大銀行の一つANZ銀行は、利下げ予想を今年の11月から翌年2月へと変更しているが、5月CPIが上振れれば他の金融機関もRBAの利下げ予想がこれまで以上に後ずれする可能性もある。なお、RBAのインフレ目標レンジへの到達予想は、これまで通り2025年の4-6月期と変更はなかった、

 豪ドルの重しになるのは欧州の政局不安。欧州株を中心に、株式市場がさらに軟調に動いた場合は、リスク回避への動きに敏感に反応する豪ドルの上値が重くなってくる可能性もある。

 なお、CPI以外の経済指標では25日に6月ウエストパック消費者信頼感指数が発表予定。また、26日にはケントRBA総裁補佐、27日にはハウザーRBA副総裁がそれぞれ講演を行う。隣国ニュージーランドからは24日に5月貿易収支、27日に6月ANZ企業信頼感が発表される。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は堅調な動きになりそうだ。国民統一政府(GNU=Government of National Unity)が、アフリカ民族会議(ANC)と野党第1党・民主同盟(DA)などを中心に無事船出した。市場開放に積極的で、親ビジネスなDAのGNU参加で、JPモルガンが南ア株の投資判断をアンダーウェイトからオーバーウェイトに引き上げるなど、海外投資家が南アへの再投資に動きつつある。目先、南アに大規模な海外資金流入がもたらされる可能性もあり、ZAR買いを促しそうだ。なお、来週は27日に4-6月期BER消費者信頼感、5月卸売物価指数(PPI)、28日に5月貿易収支と月次財政収支が発表される。また、日程は決まっていないが閣僚人事も発表される予定。

6月17日週の回顧
 豪ドルは強含んだ。対ドルでは0.66ドル台後半で底堅い動きとなり、対円では2007年以来となる106円手前まで上昇した。RBA総裁のタカ派発言などが豪ドル買い要因。ZARも大幅に上昇した。対ドルでは昨年8月以来となる18ランドを割り込み、対円では2018年以来の8.85円まで強含んだ。GNUに対する海外投資家の期待などがZAR買いを促した。(了)
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