週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、景気減速懸念が相場の重し
◆豪ドル、景気減速懸念が相場の重し
◆ZAR、南ア総選挙後も政局の先行き不透明感根強い
◆ZAR、南アGDPは2四半期ぶりのマイナス成長に
予想レンジ
豪ドル円 100.00-105.00円
南ア・ランド円 7.90-8.40円
6月10日週の展望
豪ドルは伸び悩む展開を予想している。来週は日米の金融政策公表が控えており、豪ドルも日銀金融政策決定会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)の行方をにらみながらの展開となりそうだ。ただ、豪州の景気減速懸念が相場の重荷として意識される可能性があり、総じて上値は限られるだろう。今週公表された経済指標は豪経済の低迷を示す内容が目立った。1-3月期経常収支は期間内の貿易黒字の減少などもあって、市場予想の51億豪ドル黒字に反して49億豪ドルの赤字に。1-3月期国内総生産(GDP)は前年比1.1%増と前期の1.6%増から伸びが鈍化。2022年7-9月期の5.9%増から鈍化傾向が続いている。
一方で、前週発表の4月消費者物価指数(CPI)ではインフレ加速の兆候が見られており、豪州がスタグフレーションに陥るとの懸念も台頭しつつあるようだ。豪政府は先月にインフレ対策として光熱費と家賃の軽減措置を盛り込んだ年次予算案を発表。景気支援とインフレ抑制の二兎を追う姿勢を見せているが、市場では効果が不透明との声も聞かれており、17-18日の次回理事会では豪準備銀行(RBA)も難しい判断を迫られることになるだろう。なお、来週は11日に5月NAB企業景況感指数、13日に5月雇用統計が控えているほか、10日は国王誕生日の祝日でシドニー市場が休場となる。
南アフリカ・ランド(ZAR)はさえない動きとなりそうだ。来週は南アフリカから目立った経済指標の発表はなく、豪ドルと同様に日米金融イベントを確認しながらの動きとなるだろう。もっとも、同国では政局の先行き不透明感が根強く残っているほか、景気の低迷も一段と進んでおり、積極的にZAR買いを促す材料は乏しいのが現状だ。
5月29日に実施された南アフリカ総選挙では与党アフリカ民族会議(ANC)が初めて過半数を割り込み、得票率は40%程度にとどまった。ANCはその後に連立政権樹立へ向けて主要政党との協議を実施。各党を幅広く巻き込んだ挙国一致政権を目指すとしているが、反対意見などもあり、今後も同国の政局を巡っては余談を許さない状況が続く見込みだ。政局の不透明感はZARにとってもマイナス材料となり、しばらくはZAR押し下げ要因として意識されるだろう。
こうした状況下で今週公表された1-3月期GDPは市場予想を下回る0.1%減となり、2四半期ぶりのマイナス成長を記録した。エコノミストからは4-6月期の成長回復も限定的との指摘があり、こちらもZAR相場の上値を抑制することになりそうだ。
6月3日週の回顧
豪ドルは対円で週前半に日銀の政策正常化観測が高まった影響から下落。その後は買い戻しも入ったが、戻りは限られた。一方、対ドルでは方向感を欠いた動きとなった。ZARは対ドル・対円でともに上値の重さが目立った。南アフリカ総選挙で与党ANCが予想以上の苦戦を強いられたことで政局不安が広がり、相場の重しとなっている。(了)
◆ZAR、南ア総選挙後も政局の先行き不透明感根強い
◆ZAR、南アGDPは2四半期ぶりのマイナス成長に
予想レンジ
豪ドル円 100.00-105.00円
南ア・ランド円 7.90-8.40円
6月10日週の展望
豪ドルは伸び悩む展開を予想している。来週は日米の金融政策公表が控えており、豪ドルも日銀金融政策決定会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)の行方をにらみながらの展開となりそうだ。ただ、豪州の景気減速懸念が相場の重荷として意識される可能性があり、総じて上値は限られるだろう。今週公表された経済指標は豪経済の低迷を示す内容が目立った。1-3月期経常収支は期間内の貿易黒字の減少などもあって、市場予想の51億豪ドル黒字に反して49億豪ドルの赤字に。1-3月期国内総生産(GDP)は前年比1.1%増と前期の1.6%増から伸びが鈍化。2022年7-9月期の5.9%増から鈍化傾向が続いている。
一方で、前週発表の4月消費者物価指数(CPI)ではインフレ加速の兆候が見られており、豪州がスタグフレーションに陥るとの懸念も台頭しつつあるようだ。豪政府は先月にインフレ対策として光熱費と家賃の軽減措置を盛り込んだ年次予算案を発表。景気支援とインフレ抑制の二兎を追う姿勢を見せているが、市場では効果が不透明との声も聞かれており、17-18日の次回理事会では豪準備銀行(RBA)も難しい判断を迫られることになるだろう。なお、来週は11日に5月NAB企業景況感指数、13日に5月雇用統計が控えているほか、10日は国王誕生日の祝日でシドニー市場が休場となる。
南アフリカ・ランド(ZAR)はさえない動きとなりそうだ。来週は南アフリカから目立った経済指標の発表はなく、豪ドルと同様に日米金融イベントを確認しながらの動きとなるだろう。もっとも、同国では政局の先行き不透明感が根強く残っているほか、景気の低迷も一段と進んでおり、積極的にZAR買いを促す材料は乏しいのが現状だ。
5月29日に実施された南アフリカ総選挙では与党アフリカ民族会議(ANC)が初めて過半数を割り込み、得票率は40%程度にとどまった。ANCはその後に連立政権樹立へ向けて主要政党との協議を実施。各党を幅広く巻き込んだ挙国一致政権を目指すとしているが、反対意見などもあり、今後も同国の政局を巡っては余談を許さない状況が続く見込みだ。政局の不透明感はZARにとってもマイナス材料となり、しばらくはZAR押し下げ要因として意識されるだろう。
こうした状況下で今週公表された1-3月期GDPは市場予想を下回る0.1%減となり、2四半期ぶりのマイナス成長を記録した。エコノミストからは4-6月期の成長回復も限定的との指摘があり、こちらもZAR相場の上値を抑制することになりそうだ。
6月3日週の回顧
豪ドルは対円で週前半に日銀の政策正常化観測が高まった影響から下落。その後は買い戻しも入ったが、戻りは限られた。一方、対ドルでは方向感を欠いた動きとなった。ZARは対ドル・対円でともに上値の重さが目立った。南アフリカ総選挙で与党ANCが予想以上の苦戦を強いられたことで政局不安が広がり、相場の重しとなっている。(了)