週間為替展望(豪ドル/ZAR)-ZAR、国民統一政府の組閣に注目

◆豪ドル、インフレが高止まりするなかでの RBA 声明文に注目
◆ZAR、国民統一政府への最大野党参加が濃厚でご祝儀買いが続きそう
◆ZAR、財務相をはじめとした統一政府の組閣に注目 

予想レンジ
豪ドル円 103.00-106.00 円
南ア・ランド円 8.30-8.90 円

6月17日週の展望
 豪ドルは堅調な動きを予想する。対ドルでは米金利がやや低下していること、対円では引き続き投資家による円売り意欲が旺盛なことから、豪ドル買いが優勢となりそうだ。また、豪州のインフレが高止まりしていることも豪ドルを支えることになる。

 来週の市場の注目は17-18日に行われる豪準備銀行(RBA)理事会。先月5月29日に発表された4月の月次消費者物価指数(CPI)は昨年11月以来の水準となる3.6%まで上昇し、RBAのインフレ目標レンジ(2-3%)から再び遠ざかった。政策金利は据え置きで無風となるだろうが、この結果を受けての会合でもあり、声明文の内容には警戒が必要だろう。前回5月の理事会では「インフレリスクが高まっていることを踏まえ、利上げを検討していた」ことが明らかになっている。データ的にもインフレリスクが証明されたことで、更に利上げに踏み込んだ声明が発表されるかが注目される。なお、今週に入り豪州の4大銀行の一つANZ銀行は、利下げ開始予想を11月から2025年2月へと変更している。

 豪州からはRBA理事会以外には注目イベントはないが、隣国のニュージーランド(NZ)からは19日に1-3月期経常収支、20日に国内総生産(GDP)が発表される。NZドルは上昇傾向を辿っていることもあり、指標結果次第で更なるNZドル買いが進む可能性もある。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は堅調な動きになりそうだ。国民統一政府(GNU=Government of National Unity)の樹立を目指す与党アフリカ民族会議(ANC)と、野党第1党・民主同盟(DA)との間で秘密裏に協議が行われ、DAのGNU参加が決定的となった。市場開放に積極的で、親ビジネスなDAのGNU参加はZARの買い要因になるだけではなく、汚職で有罪となったズマ前大統領率いる民族の槍(MK)、急進左派の経済的解放の闘士(EFF)をGNUに加えないという決断も国際的な評価を得やすいだろう。依然としてANCが単独過半数を獲得できなかったことにより、今後の政策を進めることへの不安要素は根強いものの、当面はご祝儀相場的な面もありZARは堅調な動きを予想する。なお、来週は南アから19日に5月消費者物価指数(CPI)、4月小売売上高などが発表されるが、市場の注目は引き続き政局ということは変わらない。特に今後発表される組閣が最大の注目で、財務相をはじめとした要職を誰が務めるかなどでもZARは動意づきそうだ。

6月10日週の回顧
 豪ドル円は104円半ばまで上昇し、4月29日つけた11年ぶりの高値に接近した。また、豪ドル/ドルは米金利の低下が支えとなり、先月20日以来となる0.67ドル台を一時回復した。豪州の5月雇用統計では失業率は予想通りの結果だったが、新規雇用者数が予想を上回り、中でも正規雇用者数が大幅に伸びるなど内容自体も好結果だった。

 ZARは、週末にDA参加によるGNU発足が濃厚になったことで強含んだ。対円では8円半ば、対ドルでも先週末は18ZAR前半までZAR買いが進み、選挙前の水準までZARが買い戻された。(了)
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