週間為替展望(豪ドル/ZAR)-NZドル、RBNZ利下げの可能性も
◆豪ドル、株式市場に翻弄される展開は変わらず
◆NZドル、期待インフレの引き下げ受け利下げの可能性も
◆ZAR、国内環境は良好もリスク回避姿勢が継続され上値は重い
予想レンジ
豪ドル円 93.00-100.00円
南ア・ランド円 7.60-8.20円
8月12日週の展望
豪ドルは引き続き荒い値動きとなりそうだ。日経平均をはじめ株式市場が連日大きく上下していることで、来週もリスク度合いに敏感なオセアニア通貨は株式市場の動きに左右され、荒い値動きを繰り返すことになるだろう。特に新NISA導入後から始まった日本株の買いの勢いが完全に削がれてしまったことで、株式市場のダウンサイドリスクには警戒したい。もっとも、株式市場が落ち着きを取り戻せば、豪州と米国の金融政策の方向性の違いが引き続き豪ドルの支えになるだろう。
来週の豪州からの経済指標では、13日に4-6月期の賃金指数と15日の7月雇用統計に注目。5-6日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会では、賃金の伸びの高さが指摘された。また、失業率に関しては上昇を予想しているが、労働市場は依然としてひっ迫しているとの見解を示した。8日に行われた講演でブロックRBA総裁は「単一の経済指標で判断することはない」と述べたが、賃金指数が高まり、雇用情勢が予想よりも強い結果となった場合は9月の理事会に向けて利上げ期待が高まる可能性もありそうだ。なお、13日には7月のNAB企業信頼感・景況感も発表される。
隣国のNZでは14日にNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)が控えている。8日に発表された期待インフレは2年後を2.33%から2.03%まで、1年先を2.73%から2.40%まで引き下げた。当初は政策金利の据え置き予想が優勢だったが、期待インフレの引き下げを受けて利下げ予想も高まっている。予想が拮抗するなかで、RBNZの動向を見極めることになるが、今回は四半期に一度発表される声明文(MPS)にも注目している。
南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が重そうだ。南アの国内情勢は、国民統一政府(GNU)の発足で政治基盤が安定するなど、ポジティブ要素は多い。また、南ア経済研究所(BER)は南アの成長見通しを南ア準備銀行(SARB)の1.5%や国際通貨基金(IMF)の1.2%を大きく上回る2.2%に引き上げている。国内環境は良好になっているものの、米中の景気鈍化懸念が高まっていることで引き続きリスク回避の動きになりやすく、ZARの上値を抑えそうだ。なお、経済指標では13日に4-6月期失業率、14日に6月小売売上高が発表される。
8月5日週の回顧
豪ドルは乱高下した。先週発表された米雇用統計の悪化により、米国のリセッション懸念で週初から株式市場が大幅な下落となると、リスク回避の動きに敏感な豪ドルは対ドルで年初来安値となる0.6350ドルまで、対円では昨年5月以来となる90.15円まで急落した。もっとも、その後は株安に一定の歯止めがかかるなか、RBAがタカ派姿勢を維持したほか、内田日銀副総裁のハト派発言などを受けて、それぞれ0.66ドル台、97円台まで戻す大相場となった。
ZARも株安によるリスク回避により、週初は対円で8円台から7.60円まで急落した。その後は、ドル円が下げ幅を縮小すると8円台まで値を戻すなど流動性が悪化するなかで乱高下した。(了)
◆NZドル、期待インフレの引き下げ受け利下げの可能性も
◆ZAR、国内環境は良好もリスク回避姿勢が継続され上値は重い
予想レンジ
豪ドル円 93.00-100.00円
南ア・ランド円 7.60-8.20円
8月12日週の展望
豪ドルは引き続き荒い値動きとなりそうだ。日経平均をはじめ株式市場が連日大きく上下していることで、来週もリスク度合いに敏感なオセアニア通貨は株式市場の動きに左右され、荒い値動きを繰り返すことになるだろう。特に新NISA導入後から始まった日本株の買いの勢いが完全に削がれてしまったことで、株式市場のダウンサイドリスクには警戒したい。もっとも、株式市場が落ち着きを取り戻せば、豪州と米国の金融政策の方向性の違いが引き続き豪ドルの支えになるだろう。
来週の豪州からの経済指標では、13日に4-6月期の賃金指数と15日の7月雇用統計に注目。5-6日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会では、賃金の伸びの高さが指摘された。また、失業率に関しては上昇を予想しているが、労働市場は依然としてひっ迫しているとの見解を示した。8日に行われた講演でブロックRBA総裁は「単一の経済指標で判断することはない」と述べたが、賃金指数が高まり、雇用情勢が予想よりも強い結果となった場合は9月の理事会に向けて利上げ期待が高まる可能性もありそうだ。なお、13日には7月のNAB企業信頼感・景況感も発表される。
隣国のNZでは14日にNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)が控えている。8日に発表された期待インフレは2年後を2.33%から2.03%まで、1年先を2.73%から2.40%まで引き下げた。当初は政策金利の据え置き予想が優勢だったが、期待インフレの引き下げを受けて利下げ予想も高まっている。予想が拮抗するなかで、RBNZの動向を見極めることになるが、今回は四半期に一度発表される声明文(MPS)にも注目している。
南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が重そうだ。南アの国内情勢は、国民統一政府(GNU)の発足で政治基盤が安定するなど、ポジティブ要素は多い。また、南ア経済研究所(BER)は南アの成長見通しを南ア準備銀行(SARB)の1.5%や国際通貨基金(IMF)の1.2%を大きく上回る2.2%に引き上げている。国内環境は良好になっているものの、米中の景気鈍化懸念が高まっていることで引き続きリスク回避の動きになりやすく、ZARの上値を抑えそうだ。なお、経済指標では13日に4-6月期失業率、14日に6月小売売上高が発表される。
8月5日週の回顧
豪ドルは乱高下した。先週発表された米雇用統計の悪化により、米国のリセッション懸念で週初から株式市場が大幅な下落となると、リスク回避の動きに敏感な豪ドルは対ドルで年初来安値となる0.6350ドルまで、対円では昨年5月以来となる90.15円まで急落した。もっとも、その後は株安に一定の歯止めがかかるなか、RBAがタカ派姿勢を維持したほか、内田日銀副総裁のハト派発言などを受けて、それぞれ0.66ドル台、97円台まで戻す大相場となった。
ZARも株安によるリスク回避により、週初は対円で8円台から7.60円まで急落した。その後は、ドル円が下げ幅を縮小すると8円台まで値を戻すなど流動性が悪化するなかで乱高下した。(了)