株式明日の戦略-円高を嫌って5日ぶり反落、5日線近辺では下げ渋る

 12日の日経平均は5日ぶり反落。終値は248円安の38173円。米国株安を受けて下落スタート。開始直後には前日終値近辺まで値を戻したものの、プラス圏には浮上できずに売り直された。その後、東京時間で円高が進んだことを嫌気して、一気に下げ幅を300円超に拡大。10時台半ばに38100円近辺まで下げたところで売りが一巡したが、以降の戻りは緩慢となり、低空飛行が続いた。一方、スタンダード指数は小安く始まるも、すぐにプラス圏に浮上して場中は上げ幅を拡大。連日で史上最高値を更新した。米長期金利の低下が追い風となったREIT指数も堅調で、こちらは連日で年初来高値を更新した。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆7600億円。業種別では石油・石炭、鉱業、機械などが上昇した一方、サービス、化学、輸送用機器などが下落した。証券会社がレーティングを引き上げたサイボウズ<4776.T>が急騰。半面、証券会社が投資評価を引き下げたエムスリー<2413.T>が大幅に下落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり564/値下がり986。中東の地政学リスクの高まりを受けて、三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社が大幅高。原油高を手がかりに、INPEX、コスモエネルギー、出光興産などに資金が向かった。リミックスポイントやメタプラネットなど暗号資産関連が商いを伴って急伸。決算が好感されたANYCOLORや、証券会社が投資判断を引き上げた住友ファーマがストップ高まで買い進まれた。

 一方、米国でグロース株が弱かったことから、レーザーテックやディスコなど半導体株の多くが下落。リクルートが3%を超える下落となったほか、ファーストリテイリングやキーエンスなど超値がさ株が弱かった。円高を嫌気してトヨタ、ホンダ、スズキなど自動車株が軒並み安。決算が嫌気されたRidge-iやGENDAが急落した。

 日経平均は200円を超える下落。ただ、取引時間中にドル円が円高に振れた割には比較的値を保った。安値は38102円までで、終値(38173円)では5日線(38127円、12日時点)を上回った。この程度の下げであれば、前日まで4日続伸した分のクールダウンの範ちゅうにすぎない。

 あすはメジャーSQ日で、序盤は振れ幅が大きくなるかもしれない。ただ、市場の関心はG7サミット(6/15~17)、日銀会合(6/16~17)、FOMC(6/17~18)など、来週消化するイベントに移っていくと思われるだけに、次第に値動きが落ち着いてくるだろう。為替動向には注意を払う必要がある。本日、米国では5月生産者物価指数(PPI)の発表と30年国債入札が予定されている。前日に5月消費者物価指数(CPI)と10年国債入札を消化して米10年債利回りが低下しているだけに、米金利低下に勢いがつくようなら、円高・ドル安がもう一段進む可能性はある。今週の日経平均は週初から38000円を上回り、きょうまで一度も38000円を割り込んでいない。下げたとしても38000円より上で推移できるかに注目したい。
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。