ニューヨーク外国為替市場概況・15日 ユーロドル、反発

 15日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは反発。終値は1.0080ドルと前営業日NY終値(1.0018ドル)と比べて0.0062ドル程度のユーロ高水準だった。前日に辞任を表明したドラギ伊首相をマッタレッラ大統領が慰留したことで、リスク回避の姿勢が後退し、イタリア株中心に欧州株相場が反発。ユーロ買い戻しが先行した。
 NY市場では、6月米小売売上高が前月比1.0%増と予想の0.8%増を上回ったものの、前日にウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が指摘した「予想よりも大幅に強い数字」ではなかったとの見方から、市場で台頭していた今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での1%利上げ観測が後退し、ドル売りを誘った。
 また、米ミシガン大学が7月消費者態度指数(速報値)に併せて発表した消費者の期待インフレ率で、5年先が2.8%と前月の3.1%から鈍化し1年ぶりの低水準を記録したこともドル売りを促した。同指標はFRBが6月FOMCで0.75%の大幅利上げを決めた一因とされており、この結果が米金融引き締め加速への過度な警戒感の緩和につながった。24時30分前に一時1.0098ドルと本日高値を更新した。
 なお、ボスティック米アトランタ連銀総裁はこの日、「0.75%利上げは大きな動きであり、FRBは移行が秩序あるものになることを望む」「あまりにも劇的な動きは経済を弱体化させ、不確実性が増す可能性」と述べ、1%利上げには否定的な見方を示した。ボスティック氏は13日に「1%の利上げを検討する可能性がある」との見方を示していた。また、FOMCで投票権を有するブラード米セントルイス連銀総裁も「今月1%の極めて大幅な利上げを決定する必要性を強く感じていない」などと語った。

 ドル円は3営業日ぶりに反落。終値は138.57円と前営業日NY終値(138.96円)と比べて39銭程度のドル安水準だった。注目の米小売指標が予想よりも大幅に強い数字ではなかったとの受け止めがドルの重しとなり、23時30分過ぎに一時138.39円と日通し安値を更新した。米ミシガン大学が発表した期待インフレ率が前月から鈍化し予想を下回ったことも、FRBの急激な利上げ観測の後退を誘い、米金利の低下とドル売りを促した。

 ユーロ円は3日続伸。終値は139.63円と前営業日NY終値(139.23円)と比べて40銭程度のユーロ高水準。欧州を代表する株価指数のひとつユーロ・ストックス50指数が2.3%超上昇したほか、ダウ平均が650ドル超上げると、投資家のリスク志向が改善し円売り・ユーロ買いが強まった。前日の高値139.77円を上抜けて一時139.89円まで値を上げた。その後の下押しも139.55円付近にとどまった。

本日の参考レンジ
ドル円:138.39円 - 139.13円
ユーロドル:1.0007ドル - 1.0098ドル
ユーロ円:138.75円 - 139.89円

(中村)
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