株式明日の戦略-7日連続で3桁の上昇、FOMC週に決算発表が盛り沢山

 22日の日経平均は7日続伸。終値は111円高の27914円。米国株は上昇したが、スナップ株の時間外の急落が今晩の米国株安を想起させたことから下落スタート。開始直後には下げ幅を3桁に広げた。しかし27700円は割り込まずに切り返すと、急速に下げ幅を縮小。ほどなくプラス圏に浮上した。10時台半ば辺りからはじわじわと上げ幅を広げる流れとなり、静かに強い動きが続いた。後場に入ると上げ幅を3桁に拡大。高値は27952円まであり、28000円に迫った。節目を前に取引終盤はややダレたものの、3桁の上昇で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆6200億円。業種別では海運、サービス、不動産などが上昇した一方、電気・ガス、空運、石油・石炭などが下落した。上方修正を発表した巴川製紙所<3878.T>が後場急騰。半面、証券会社が目標株価を引き下げたBASE<4477.T>が大幅安となった。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり1014/値下がり712。上方修正を発表してきょうの主役となったのが海運株。商船三井が3%高、日本郵船が4%高となり、川崎汽船は11%高と値を飛ばした。NSユナイテッド海運など小型の船株にも資金が向かい、港湾事業を手掛ける大運はストップ高をつける場面もあった。リクルートやキーエンスなどグロース株の主力銘柄が大幅上昇。1Q決算が好感されたオービックや、バンズ保証社の株式取得を発表したエルテスが買いを集めた。通期の純利益見通しを引き上げたJIAが急騰し、年初来高値を更新した。

 一方、日経新聞の記事から燃料高の価格転嫁が困難になるとの見方が強まった電力株が軒並み安となっており、東電HDが7%を超える下落。レノバやイーレックスなど再エネ関連も弱かった。ECBの大幅利上げを受けても長期金利が低下したことから、東京海上や第一生命など保険株が下落。ドル高(円安)一服を受けて、ホンダ、SUBARU、日産自動車など自動車株が売りに押された。OBCはきのう後場に決算を発表してこの日はプラスで終えたものの、きょうは大きく売られる展開。CCTは上方修正を発表して大幅高スタートとなったものの、買いが続かず大幅安で終えた。

 来週は26~27日のFOMCが重要イベントとなる。1%利上げの可能性が低下したことで、0.75%利上げが濃厚。織り込みが進んで現状では波乱がなさそうにも思えるが、次回以降も0.75%が続くといったアナウンスが出てきた場合には、楽観に傾きかけている分、失望の反応が強めに出てくる可能性はある。米国株がFOMCを消化した後に年初来安値更新を回避できるかが、大きな注目点となる。6月まではFRBの金融引き締めが強く意識される中、米国株は下値模索が続いた。ただ、米主要3指数は6月16~17日に年初来安値を更新してから、1カ月以上が経過している。FOMCで大幅安とならなければ、底打ちへの期待も高まる。

 21日の時点でダウ平均は年初来安値から約7%上、S&P500は約9%上、ナスダックは約13%上(いずれも終値ベースでの比較)に位置しており、セーフティーリードはある。ただ、今年は何度も米国株の弱い場面を見ているだけに油断はできない。8月はFOMCのない月(次回は9/20~21)となる。そのため、今回のFOMCの反応が当面の米国株の方向性にも大きな影響を与えることになるだろう。


【来週の見通し】
 不安定な展開か。7月FOMC(7/26~27)では0.75%利上げの可能性が高まっているが、米国株、日本株とも今週、FOMCを前に騰勢を強めてきたことから、FOMC近辺ではいったん過熱感を冷やす売りが出てくる可能性がある。国内では決算発表が本格化し、米国でもFOMCの近辺でアルファベット、メタ、アップルなど注目企業の決算が立て続けに出てくる。指数、個別ともに振れ幅が大きくなると思われる。ただ、これだけ注目材料が多いと、ある程度値幅が出ることは許容されるだろう。下げた場合でも悲観一辺倒には傾きづらいが、その一方で、翌週以降の決算も見極めないと一段高への期待は高まりづらい。決算プレイは盛り上がることになるだろうが、指数は方向感に欠ける動きが続くと予想する。
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