東京為替見通し=ドル円 不安定な動き続くか、台湾リスク軽視は時期尚早

 海外市場でドル円は、複数の米経済指標が市場予想より強い結果だったことを受けて、134.55円まで上値を伸ばした。しかし、米10年債利回りが低下に転じたことなどが相場の重しとなり、133.76円付近まで上値を切り下げた。ユーロドルは、一時1.0123ドルと日通し安値を更新したが、4時30分過ぎには1.0174ドル付近まで持ち直す場面があった。

 本日の東京時間のドル円は、昨日同様に不安定な動きを繰り返すだろう。この数日は市場流動性が悪いことで、些細なニュースや、それほど大きいと思われないフローで乱高下を繰り返している。

 昨日と一昨日は台湾情勢を懸念する報道が流れると「ドル売り・円買い」で反応していた市場筋だが、連日持ち上げられていることを考えると、本日はこの手の報道で過度に反応するのは難しいか。また、ペロシ米下院議長の訪台によるリスクオフへの反応は徐々に限定的になり、米株はナスダック総合が大幅高となったほか、主要3指数ともに反発している。

 もっとも、秋に中国は共産党大会を控えていることもあり、中国の報復措置が台湾からの一部商品の輸出入禁止程度で終わるとは思えず、今後は米国に対する通商的な報復措置を行うことが考えられる。この数日は反応が鈍かったが、中国が米国経済に痛手となる措置を取るようならば、株売りによるリスクオフ相場に戻る可能性はいまだに高く、台湾リスクを軽視するのはまだ時期尚早だろう。また、本日4日から7日まで中国軍の軍事演習が台湾を囲むように設定された6カ所の海域や空域で実施されていることにも警戒したい。

 台湾情勢について沈黙を続けている岸田政権だが、5日にペロシ氏が訪日予定のため、これまで通りの事なかれ外交ではいられず、日本も米国の要請により台湾への通商的な援助などに動かざる終えなくなる可能性もある。その場合は中国政府がペロシ氏訪台に対して、米国ではなく台湾に対しての制裁を矢継ぎ早に出したように、日本に制裁を科す可能性が高く、その影響にも要注意だ。

 本日のアジア時間では6月の豪貿易収支以外は主だった経済指標の発表予定はないが、欧州入り後は注目度が非常に高いイングランド銀行(BOE)の金融政策委員会(MPC)が開かれることで、ポンドの動きは要警戒となる。


(松井)
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