東京為替見通し=ドル円、足もとで方向感見定めにくい

 昨日のニューヨーク外国為替市場で3営業日ぶりに小反落。8月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が▲31.3と予想の5.5を大幅に下回ったことで一時132.56円まで下げ足を速めた。独長期金利の低下も重しに、ユーロドルは1.0155ドルまで5日以来の安値を更新した。ユーロ圏景気の悪化懸念が根強いなか、ユーロ円は135.28円まで下押した。

 足もとでドル円は方向感が見定めにくい。7月の米消費者物価指数(CPI)や米卸売物価指数(PPI)の伸びが市場予想を下回り、同輸入物価が大きく低下したことで、インフレのピークアウト期待が高まっている一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)当局者らは物価の高止まりに警戒感を示し、引き締め姿勢を維持している。もっとも、7月米CPIは前年比+8.5%と、40年超ぶりの大幅な伸びとなった6月の+9.1%から伸びが低下したとはいえ、依然として高い水準を維持している。高インフレをめぐる思惑が交錯し、ドル円に方向感が出にくい。

 日米金融政策の方向性の違いは引き続きドル円の下支え要因となる一方で、世界のリセッション懸念も根強く、ドル円の上値を追うには慎重さが増している。本日の東京タイムでは目立つイベントや主な経済指標の発表もなく、日米株価指数や時間外の米長期金利の動向を眺めながらの動きが見込まれるが、本邦勢は本日ぐらいまでお盆休みに入っている人も少なくなく、薄商いのなか短期筋による投機的な動きには注意したい。また、台湾情勢には引き続き注目。米超党派議員の訪台をにらみ、中国人民軍は15日に台湾周辺で軍事演習を再開している。中国国防省は「米国と台湾の挑発に対する厳正な抑止力だ」として、議員団訪問への対抗措置と位置づけ、「いかなる台湾独立のたくらみも断固粉砕する」と強調しており、中国当局の今後の動きを注視。

(金)
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