東京為替見通し=ドル円、パウエルFRB議長のタカ派スタンス受けて底堅い展開か

 26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、パウエルFRB議長がジャクソンホール会議での講演で「早急な緩和のリスクを歴史が警告。景気抑制の政策は一定期間必要になる可能性」と述べて、高金利をしばらく維持する方針を示したことで、136.23円から137.65円まで上昇した。ユーロドルは、1.0090ドルまで上昇後、0.99ドル台半ばまで反落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、先週末のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長のタカ派的なスタンスを受けて底堅い展開が予想される。

 パウエルFRB議長は、まず、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の後の記者会見の時と同じく、「9月会合での決定は、入手するデータと変化する見通しの全体像に左右される」と述べた。

 9月20-21日のFOMCまでには重要な雇用・物価データが以下の通り5つあるが、これまで発表された3つのデータは、7月雇用統計は0.75%利上げを正当化し、伸び率が鈍化した消費者物価指数とPCE総合価格指数は0.75%利上げ確率を低下させている。
・7月雇用統計(8/5発表):失業率3.5%で0.75%の利上げを正当化した
・7月消費者物価指数(8/10発表):前年比+8.5%へ鈍化した
・7月PCE総合価格指数(8/26発表):前年比+6.3%へ鈍化した
・8月雇用統計(9/2)
・8月消費者物価指数(9/13)
 今週は、9月2日発表の米8月雇用統計に向けて底堅い展開が予想される。

 そして、パウエルFRB議長は「景気抑制の政策は一定期間必要になる可能性」と述べて、高金利をしばらく維持する方針を示しており、2年債と10年債の長短金利逆転(逆イールド)が示唆している来年の利下げ観測を牽制した。
 パウエルFRB議長のややタカ派的なスタンスを受けて、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月20-21日のFOMCでの0.50%の利上げ確率は39%、0.75%の利上げ確率は61%となっている。
 パウエル第16代FRB議長は、ボルカー第12代FRB議長、グリーンスパン第13代FRB議長、バーナンキ第14代FRB議長という歴代議長を例に挙げて、早急な緩和のリスクを歴史が警告していると述べており、高金利が当面続くことを示唆している。

 10時30分に発表される7月豪小売売上高は、前月比+0.3%と予想されており、6月の前月比+0.2%からの伸び幅の増加が見込まれている。ネガティブサプライズでない限り、9月6日の豪準備銀行(RBA)理事会での0.50%の追加利上げが既定路線であることには変わりない。
 市場の政策金利(現状:1.85%)の見通しは、9月末時点が2.35%(+0.50%)、年末時点では2.85%(+1.00%)までの上昇が見込まれている。


(山下)
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