東京為替見通し=ドル円 神経質な展開が続くか、今夜はパウエルFRB議長の講演

 25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが3.1264%前後から時3.0184%前後まで低下したことで、136.95円付近から136.40円付近まで下落した。ユーロドルはアジア時間の高値1.0033ドルから0.9949ドルまで上値を切り下げた。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜予定されているジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演への警戒感から神経質な展開が予想される。

 パウエルFRB議長の講演では、まず昨年の講演でのインフレ動向の読み違えに対する謝罪に始まり、将来の見通しは全く分からないという不快な事実を認めることになると思われる。

 市場の見立ては、上昇しているニューヨーク株式市場は、ハト派的な見解を予想し、米10年債利回りが3%台で引けている債券市場は、ややタカ派的な見解を予想し、ドルの高値圏で推移している為替市場もややタカ派的な見解を予想していると思われる。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月20-21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%の利上げ確率は39.5%、0.75%の利上げ確率は60.5%となっており、本日のパウエルFRB議長の講演がタカ派的だと予想している。

 また、米2年債と米10年債の長短金利逆転(逆イールド)は、FF金利が3.50%程度まで上昇した後に、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに転じることを示唆。さらに、金利先物市場は、来年3月にFF金利が3.80%程度まで上昇した後に利上げに転じることを示唆している。

 ハト派的な見方は、7月のFOMC議事要旨で示された様に、インフレ抑制に引き続き尽力すると同時に、今後の政策決定がデータ次第になることを強調して、メッセージのバランスを取ろうとするかもしれないこと。7月の好調な雇用統計は0.75%利上げ、鈍化した消費者物価指数は0.50%の利上げを示唆している。

 タカ派的な見方は、成長は鈍化しており一段と減速する確率が高いものの、根強いインフレの抑制がFRBの優先事項になると強調する可能性となる。すなわち、リセッション(景気後退)の見込みはあるものの、インフレ率が低下するには景気が減速する必要があると強調すること。最近の複数の米連邦準備理事会(FRB)タカ派高官の発言では、9月FOMCでの0.75%の利上げと年末までに3.75-4.00%程度までの利上げ継続が示唆されている。



(山下)
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