東京為替見通し=明日のパウエルFRB議長の講演を控え神経質な展開か

 24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は137.24円まで上昇した。ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演でタカ派的なスタンスが改めて示されるとの見方が広がり、米10年債利回りが3.1244%前後まで上昇したことを受けた動き。ユーロドルは米長期金利の上昇で0.9910ドルまで下落後、0.9999ドルまで反発した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、明日26日に予定されているジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演への警戒感から神経質な展開が予想される。

 本日から開催されるジャクソンホール会議では、中銀総裁達は昨年のインフレ動向の見誤りを反省し、インフレ高進に対する利上げ路線を強調せざるを得ないと予想される。

 欧州の天然ガス価格の指標となるオランダTTF天然ガス先物が1メガワット時あたり300ユーロを突破しており、原油先物価格に換算した場合、1バレル=500ドル超と試算されている。ジャクソンホール会議にエネルギー価格上昇によるインフレ高進リスクが押し寄せている。

 パウエルFRB議長の講演では、まず昨年の講演でのインフレ動向の読み違えに対する謝罪に始まり、将来の見通しは全く分からないという不快な事実を認めることになると思われる。

 昨年2021年8月27日、パウエルFRB議長は、ジャクソンホール会議での講演「経済見通し」で、経済が予想通りに進展した場合、年内に、毎月実施している債券購入の縮小(テーパリング)を開始し得ると指摘したものの、資産購入縮小の開始が利上げ開始のシグナルを意図することはない、と釘をさした。

 加速し始めていたインフレを「一過性のものにとどまる可能性が高い」と退け、低い失業率については「労働市場のスラックを過小評価している」と指摘し、賃金上昇が過度のインフレを誘発する「賃金・物価スパイラル」の兆候はほとんど見られないと断じた。

 明日の注目ポイントは、7月の好調な雇用統計と伸び率が鈍化した消費者物価指数を受けた9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅への言及と6月から開始されている量的金融引締政策(QT)への言及となっている。

 ハト派的な見方は、7月のFOMC議事要旨で示された様に、インフレ抑制に引き続き尽力すると同時に、今後の政策決定がデータ次第になることを強調して、メッセージのバランスを取る可能性となる。

 タカ派的な見方は、成長は鈍化しており一段と減速する可能性が高いものの、根強いインフレの抑制がFRBの優先事項になると強調する可能性となる。すなわち、リセッション(景気後退)の可能性はあるものの、インフレ率が低下するには景気が減速する必要があると強調する可能性となる。


(山下)
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