東京為替見通し=ドル円、26日のパウエルFRB議長のタカ派発言警戒で底堅い展開か

 22日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが3.0386%前後まで上昇したことで、欧州市場の安値136.70円から137.65円まで上昇した。ユーロドルは、欧州の天然ガス先物価格が20%超急騰してユーロ圏景気悪化懸念が高まったため0.9926ドルまで続落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円も、今週25-27日に開催されるジャクソンホール会議で、パウエルFRB議長のタカ派発言への警戒感から底堅い展開が予想される。
 カンザスシティー地区連銀がワイオミング州ジャクソンホールで25-27日に開催する毎年恒例の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で、パウエルFRB議長は26日午前10時(日本時間午後11時)から経済見通しについて講演する予定となっている。

 昨年のジャクソンホール会議でパウエルFRB議長はインフレ動向を読み違えていたが、今年はインフレが和らぐ兆しが表れる中でも一段の引き締めにコミットする姿勢を再確認する可能性が高い、と警戒されている。

 パウエルFRB議長は7月27日の会見で、具体的なフォワードガイダンスは示さずに、「今後の利上げについてはデータ次第であり、会合ごとに判断される」と説明した。

 これまで発表されたデータでは、7月雇用統計は0.75%利上げを正当化し、消費者物価指数は0.75%利上げ確率を低下させた。9月20-21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)まで、7月PCE総合価格指数(8/26)、8月雇用統計(9/2)、8月消費者物価指数(9/13)が残されている。ジャクソンホール会議で、「今後のデータ次第」と再表明した場合は、ドル高一服となるが、複数のタカ派FRB高官と同様に0.75%利上げを示唆した場合は、140円台への続伸が予想される。

 さらにパウエルFRB議長は、債券市場が増える供給分を吸収できるとの自信を示していた。

 量的金融引締政策(QT)は、6月の475億ドル(米債300億ドル+ MBS175億ドル)の減額から始まり、来月9月からは950億ドル規模(米債600億ドル+ MBS350億ドル)の減額となる。このペースで続ければ、満期償還分の再投資抑制を通じて2024年末までにバランスシートはおよそ2兆2000億ドル縮小され、市場では74bpの利上げに相当する、と試算されている。

 先月公表された2つのFRBの調査論文は、既に緊張状態にある米国債市場にとって、バランスシート圧縮はさまざまなマイナスの効果を与え、許容できないほどの金利高騰につながる恐れがあると警告された。パウエルFRB議長が、このFRBの調査論文による警告に対してどのような見解を示すのかが注目されている。

 ユーロとポンドは、9月に追加利上げが予想されているものの、今月から国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)構成比率引き下げが発効していること、英国と欧州のスタグフレーションやリセッションへの警戒感から続落が予想される。

(山下)
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