東京為替見通し=ドル円、ジャクソンホール会議への警戒感から底堅い展開か

 19日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、バーキン米リッチモンド連銀総裁が「FRBはインフレを目標の2%に回帰させるため、あらゆる措置を講じる」と述べ、米10年債利回りが2.9960%前後まで上昇したことで、137.23円まで上昇した。ユーロドルは、米長期金利の上昇やユーロ圏の高インフレによる景気悪化への警戒感などから1.0032ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、今週25-27日に開催されるジャクソンホール会議を控えて、米連邦準備理事会(FRB)当局者が根強い高インフレの抑制に向けて利上げを進める決意を再表明していることで底堅い展開が予想される。

 カンザスシティー地区連銀がワイオミング州ジャクソンホールで25-17日に開催する毎年恒例の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で、パウエルFRB議長は26日午前10時(日本時間午後11時)から経済見通しについて講演する予定となっている。 
 パウエルFRB議長は7月27日の会見で、具体的なフォワードガイダンスは示さずに、「今後の利上げについてはデータ次第であり、会合ごとに判断される」と説明した。

 9月20-21日のFOMCまでには重要な雇用・物価データが以下の通り5つあるが、これまで発表された2つのデータは、7月雇用統計は0.75%利上げを正当化し、消費者物価指数は0.75%利上げ確率を低下させた。パウエルFRB議長の講演では、2つのまちまちなデータへの見解と6月から開始されている量的金融引締政策(QT)への見解が注目されている。
・7月雇用統計(8/5発表):失業率3.5%で0.75%の利上げを正当化
・7月消費者物価指数(CPI)(8/10発表):+8.5%へ鈍化し、0.75%利上げ確率低下
・7月PCE総合価格指数(8/26)※米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視
・8月雇用統計(9/2)
・8月消費者物価指数(9/13)

 なお、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月20-21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%の利上げ確率は、先週末時点で59.0%、0.75%の利上げ確率は41.0%だった。

 9月のFOMCでの利上げ幅が注目される中、9月6日の豪準備銀行(RBA)理事会、7日のカナダ銀行(BOC)理事会、8日の欧州中央銀行(ECB)理事会、15日のイングランド銀行金融政策委員会(MPC)では0.50%程度の利上げ予想。そして、21-22日の日銀金融政策決定会合では、-0.1%の政策金利据え置きが予想されており、日本の膨大な貿易赤字とともに、円売り要因となり続けている。


(山下)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。