株式明日の戦略―米国株の大幅安を冷静に消化、非グロースで物色の裾野が広がる

 31日の日経平均は反落。終値は104円安の28091円。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり599/値下がり1161。場中の岸田首相会見で入国者数の上限引き上げが表明されたことを手掛かりに、JAL、ANA、JR東海など旅行関連が上昇。これら運輸株は原油価格の上昇一服も支援材料となった。ハウステンボス株譲渡に伴い通期見通しを上方修正した西部ガスが大幅上昇。米国の金融引き締め長期化観測を受けて、東京海上や第一生命など保険株に資金が向かった。調査委員会の調査報告書受領に伴い、目先の悪材料出尽くし感が強まったIRジャパンが16%高と急騰した。

 一方、原油安が嫌気されてINPEXが大幅安。ENEOSや三井物産など原油との連動性が高い銘柄が軒並み安となった。三井不動産、三菱地所、住友不動産など大手不動産株が軟調。米国の金融引き締め強化姿勢が業績面での懸念材料となった。レジャー株は強く買われるものもあったが、ハウステンボス株を全株譲渡したHISは2%を超える下落。直近で金融教育関連として人気化した銘柄が売られており、ウィルソンラーニングはストップ高まで買われる場面がありながら引けでは10%安と大荒れとなった。

 日経平均は反落。ただ、安寄りからすぐに反転して高値圏で終えており、場中の動きはかなり強かった。売買代金上位銘柄は大半が下落しているほか、プライム市場でも値下がり銘柄が圧倒的に多かったが、全体のセンチメントはそれほど悪化しなかった。終値では28000円を上回り、7月末の水準(27801.64円)を上回って月間上昇も達成。ジャクソンホール会合を通過して以降の米国株はさえないが、日本株はそれを冷静に受け止めている。

 米国の金利上昇が警戒される中では、グロース株は買いづらい。しかし、週初から原油関連が騰勢を強め、原発関連が動意づき、きょうはレジャー関連が賑わった。本日引け後には、トヨタが車載用電池生産の積極投資を発表しており、非グロース株の中で物色の裾野が広がっている。グロースもマザーズ指数がプラスで終えるなど、新興銘柄はそこまで嫌われているわけではない。本日米国では8月ADP全米雇用リポートの発表があり、これが強い内容となった場合には、週末の米8月雇用統計が株安要因になるとの警戒が高まる。米株先物は強いが、米国株が上昇するとは限らない。ただ、暴落にならなければ、日本株は底堅く推移できそうだ。
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