ロンドン為替見通し=8月米雇用統計とG7財務相会合に要注目

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、天然ガス価格動向を注視しながら、米国8月の雇用統計やG7財務相会合を待つ展開が予想される。

 ユーロ圏の7月の卸売物価指数(PPI)は前月比+2.5%、前年比+35.8%と予想されているものの、インフレ率の上昇は織り込み済みであり、ユーロ相場への影響は限定的だと思われる。

 ユーロ圏の8月のインフレ率が過去最高を記録したことで、8日の欧州中央銀行(ECB)理事会での0.75%の利上げ観測が高まっているものの、ユーロ圏の物価上昇と景気減速が併存するスタグフレーションへの警戒感から、ユーロは軟調に推移している。米国8月の雇用統計次第で、20-21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ幅が0.50%なのか、0.75%なのかがほぼ決まるため、ユーロドルも雇用統計の結果次第での変動が予想される。

 ロシア国営ガス大手ガスプロムは、フランスのエネルギー大手エンジーに対し、天然ガスの供給を9月1日から停止しており、ドイツ向けのノルド・ストリーム1も、点検のため、明日3日まで供給を停止している。
 本日開催されるG-7財務相会合では、バイデン米政権が提示しているロシア産原油の取引価格に上限を設定する案が討議される、と報じられている。バイデン米政権は、「ロシア政府の収入源に打撃を与える最も効果的な方法で、世界のエネルギー価格の低下にもつながる」として上限設定を目論んでいる。G-7会合で上限設定を決定した場合、ロシアから欧州への天然ガスの供給が遮断される可能性が高まることで、要警戒か。

 また、鈴木財務相は、議長国ドイツの議事進行に合わせて、必要に応じて日本の関心事、円安に関して話をさせていただく、と述べており、ドル高・円安が議論されるのか否かにも要注目か。


想定レンジ上限
・ユーロドルの上値目処(めど)は、一目・転換線の0.9996ドル、ユーロ円は7月22日の高値の140.69円。

想定レンジ下限
・ユーロドルの下値目処(めど)は、2002年12月2日の安値の0.9863ドル、ユーロ円は一目・転換線の137.76円。



(山下)
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