東京為替見通し=今夜の米8月雇用統計とG-7財務相会合控えて神経質な展開か

 1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、前週分の米新規失業保険申請件数や8月米ISM製造業景気指数が予想より強い内容だったこと、米10年債利回りが3.2932%前後まで上昇したことで、140.23円まで上昇した。ユーロドルは0.9911ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米国8月の雇用統計やG-7財務相会合を控えて神経質な展開が予想される。

 本日は、1998年8月以来の140円台に対して、鈴木財務相や財務省幹部からの円安牽制の内容に変化があるのか否かに要注目となる。
 ドル売り・円買い介入への警告としては、「投機的な動きは容認できない」「必要であれば適切な措置を講じる」があり、介入が視野に入る直前には、「行き過ぎた相場の動きに対してはあらゆる措置を排除しない」「投機的な相場の動きに対しては断固たる措置を取る用意がある」などに要警戒か。

 米国8月の雇用統計の予想は、非農業部門雇用者数が前月比+30.0万人で7月の前月比+52.8万人から増加幅が減少することが見込まれ、失業率は7月と変わらずの3.5%と見込まれている。労働市場が好調を持続していた場合、9月20-21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ幅が0.75%となる確率が高まり、予想を下回れば0.50%の利上げ確率が高まることになる。しかし、パウエルFRB議長は、26日のジャクソンホール会合で、高金利の状態が当面続くことを示唆しており、ドル円の上昇基調が続くことには変わりがないと思われる。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月20-21日のFOMCでの0.50%の利上げ確率は30.0%、0.75%の利上げ確率は70.0%となっている。

 本日開催予定のG-7財務相会合では、バイデン米政権が提示しているロシア産原油の取引価格に上限を設定する案が討議される、と報じられている。バイデン米政権は、「ロシア政府の収入源に打撃を与える最も効果的な方法で、世界のエネルギー価格の低下にもつながる」として上限設定を目論んでいる。一方、ロシアは明日3日まで、ノルド・ストリーム1の点検のために天然ガスの欧州への供給を停止しており、 G-7が上限設定を決定した場合、ロシアから欧州への天然ガスの供給が遮断される可能性が高まることで、要警戒か。ロシア国営ガス大手ガスプロムは、フランスのエネルギー大手エンジーに対し、天然ガスの供給を9月1日から停止すると通告している。
 さらに、ロシア側の報復措置として、極東の液化天然ガス(LNG)開発事業「サハリン2」への日本の商社の出資承認に対して、揺さぶりをかけてくる可能性にも要警戒となる。


(山下)
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