欧州マーケットダイジェスト・13日 株高・金利低下・ポンド全面高・ドル失速

(13日終値:14日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.00円(13日15時時点比△0.11円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=144.01円(△1.58円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=0.9796ドル(△0.0100ドル)
FTSE100種総合株価指数:6850.27(前営業日比△24.12)
ドイツ株式指数(DAX):12355.58(△183.32)
10年物英国債利回り:4.198%(▲0.238%)
10年物独国債利回り:2.287%(▲0.027%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>   <前回発表値>
9月独消費者物価指数(CPI)改定値
前月比                1.9%       1.9%
前年比                10.0%      10.0%
9月スイス生産者輸入価格(前月比)  0.2%       ▲0.1%

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ポンドは全面高。「英当局者らはトラス首相の減税計画を方向転換する作業を進めている」との一部報道が伝わると、英財政悪化への懸念が和らぎ、混乱状態にある英国債相場が大幅に反発(金利は低下)。英10年債利回りは一時4.039%前後、英30年債利回りは4.362%前後まで大幅低下した。為替市場ではこれを好感する格好でポンド買い戻しが広がり、対ドルで一時1.1380ドル、対ユーロで0.8609ポンド、対円で167.29円まで値を上げた。

・ドル円は荒い値動き。注目の9月米消費者物価指数(CPI)の発表を控えて、しばらくは146円台後半でのもみ合いが続いた。NYの取引時間帯に入り、9月米CPIが総合/コアともに予想を上回ったことが伝わると、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げが続くとの見方が強まり、米長期金利の上昇とともドル買いが活発化。上値の目処として意識されていた1998年8月の高値147.66円を上抜けて一時147.67円と90年8月以来の高値を付けた。
 ただ、32年ぶりの高値を付けたことで、政府・日銀による円買い介入への警戒感が強まると一転下落した。高値更新から1分程度で146.50円の本日安値まで売り込まれた。
 もっとも、日米金融政策の方向性の違いから押し目買い意欲も旺盛で、そのあとは147.51円付近まで持ち直した。米国株相場の持ち直しに伴うクロス円の上昇もドル円のサポートとなった。

・ユーロドルは底堅い動き。ポンドドルの上昇をきっかけにユーロ買い・ドル売りが先行。20時30分過ぎに0.9753ドル付近まで値を上げた。予想を上回る米インフレ指標を受けてユーロ売り・ドル買いが優勢になると一時0.9633ドルと日通し安値を付けたものの、米長期金利の上昇が一服すると再び強含む展開に。一時は540ドル超下落したダウ平均が上げに転じ、860ドル超上昇すると為替市場ではリスク・オンのドル売りも出た。2時30分過ぎには一時0.9806ドルと日通し高値を更新した。
 なお、米10年債利回りは一時4.0754%前後と2008年10月以来14年ぶりの高水準を付けたものの、そのあとは3.89%台まで急速に低下した。

・ユーロ円はしっかり。米CPI発表後は米株価の急落とともにリスク・オフの円買い・ユーロ売りが入り一時141.78円と日通し安値を付けた。ただ、ダウ平均が寄り付き直後に付けた日通し安値から1400ドル超上昇し3万ドル台を回復するとリスク・オフの巻き戻しによる円売り・ユーロ買いが優勢となった。2時30分過ぎには一時144.09円まで上値を伸ばした。

・ロンドン株式相場は7日ぶりに反発。「英トラス政権は減税政策の一部廃止についての可否を議論」との報道が伝わると、財政悪化への懸念が和らいだ。前日までに6日続落し昨年4月以来の安値を更新したあとだけに、短期的な戻りを期待した買いも入った。HSBCやバークレイズなど金融株の上昇が目立ったほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株に買いが集まった。

・フランクフルト株式相場は7日ぶりに反発。足もとで相場下落が続いたあとだけに短期的な戻りを期待した買いが入ったほか、急落した米国株が持ち直すと独株にも買いが波及した。個別ではドイツ銀行(7.34%高)やシーメンス・エナジー(4.60%高)、MTUエアロ・エンジンズ(4.52%高)などの上昇が目立った。

・欧州債券相場は上昇。英財政悪化への懸念が和らぐと、英国債相場が大幅に反発(金利は低下)。他の欧州債相場にも買いが波及した。

(中村)
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