週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、世界景気の後退懸念が重しに

◆豪ドル、RBAの金利先高観後退が弱気材料
◆豪雇用統計、失業率の推移に注目
◆ZAR、国営輸送会社のストライキに注意

予想レンジ
豪ドル円 90.50-95.00円
南ア・ランド円 7.80-8.20円

10月17日週の展望
 豪ドルは、戻りの鈍い動きが見込まれる。週末に向けて株価の急反発から急速に買い戻しとはなっているが、株式相場が全般下落基調を辿っているほか、国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しを下方修正したこともあり、投資家のリスク志向に敏感に反応しやすい豪ドルは上値の重い展開が予想される。

 豪準備銀行(RBA)の金利先高観が後退していることも豪ドルにとって重しとなるだろう。ドル円が日米金融政策の方向性の違いを手掛かりに上昇幅を拡大したことからも分かる通り、市場の目線は依然として各国の金融政策に集まっており、RBAがいち早く利上げペースを鈍化させたことは豪ドルの弱気要因として受け止められやすい。

 また、市場では政府・日銀による円買い・ドル売り介入や英中銀(BOE)の債券買い入れの行方などを巡って混乱が続き、一つ一つの報道に対して過敏な反応を示しやすくなっているため、今後もリスク管理を一層徹底することが求められそうだ。

 来週は20日に9月雇用統計の発表が予定されている。市場ではRBAが利上げペースを鈍化させた要因として賃金上昇が抑制されつつあることにくわえ、直近(8月分)の失業率が10カ月ぶりに上昇したことも後押しになったとの見方があり、9月分の推移についても注目しておきたい。

 また、NZでは18日に7-9月期消費者物価指数(CPI)、21日に9月貿易収支が公表予定。特にCPIは4-6月期が前年比7.3%と32年ぶりの水準まで上昇したこともあり、今回の結果にも注意が必要だ。さらにインフレが進むようであれば、NZ準備銀行(RBNZ)の大幅利上げ観測が高まり、NZドル買いにつながる可能性がある。

 南アフリカ・ランド(ZAR)はさえない動きとなりそうだ。ZARは対ドルで2020年4月につけた過去最安値も視野に入りつつあり、下値リスクを警戒すべき状況が続いている。

 来週は19日に 9月CPIや8月小売売上高が発表予定。CPIは8月分が前年比7.6%上昇とインフレの伸びが鈍化している気配を見せ始めており、今回の結果も注目される。
また、国営輸送会社トランスネットのストライキの行方にも注意。南アフリカの主要経済団体は同国の国内総生産(GDP)のうち60%が何らかの形で輸出入に依存していることから、トランスネットのストライキは同国の電力不足や以前のロックダウンよりも深刻な影響を及ぼす可能性があると警告している。

10月10日週の回顧
 豪ドルは弱含み。世界的な景気後退懸念を背景にしたリスク回避の売りに押され、対ドルでは2020年4月以来の水準まで豪ドル安が進む場面も見られた。ただ、週末にかけては株価の急反発から買い戻されている。ZARも対ドルでは2020年5月以来の水準まで売りに押された。ドル円の上昇が対ドルでのZAR売りを相殺した面もあったが、ZAR円も上値の重さが意識された。
(執筆:10月14日、11:00)
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