週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、不安定な動き継続か
◆ポンド、不安定な動き継続か、ミニ予算修正の可否がポイントに
◆英中銀の超長期債買い入れ終了後、市場の動揺が収まるか注視
◆加ドル、9月加CPIに注目、前回は予想以上に鈍化
予想レンジ
ポンド円 162.00-170.00円
加ドル円 105.00-109.00円
10月17日週の展望
ポンドは、不安定な動きが継続しそうだ。クワーテング英財務相が先月下旬に発表した「ミニ予算」とも呼ばれている大型減税を柱とする財政政策は市場に混乱をもたらした。このミニ予算への修正圧力が与党・保守党内からも高まるなか、トラス英首相が計画変更に踏み切れるかがポイント。13日には、一部通信社が「当局者は減税政策の方針を転換すべきか議論している」と報じた。検討されている一つが、「法人税引上げ廃止」の撤回のもよう。報道を受けて財政悪化への懸念が後退し、英長期債は買い戻しが強まり、ポンドも急上昇した。ただ、その後のインタビューでは、クワーテング財務相は「ミニ予算の実現に全力を注ぐ」と発言するに留まっている。
なお、年金基金救済を目的としたイングランド銀行(BOE)による一時的な超長期国債買い入れについて、ベイリーBOE総裁は「予定通り14日で終える」と明言。期限終了を控えて1日辺りの購入額が倍増され、物価連動国債も購入対象になるなど臨時措置が強化された。ただ年金基金のマージンコールは少なくとも3200億ポンドに達すると一部では算出されており、それらを今後も満たすことができるかは不透明。17日以降も英中銀は「適格担保の要件を緩和して現金を投資家へ貸し出す」という新たな枠組みは続けるが、それで市場の動揺が収まるかが注視される。
経済指標では週半ばに9月インフレ指標が発表予定。前回は消費者物価指数(CPI、前年比)が9.9%と11カ月ぶりに伸びが縮小した。もっとも英中銀の引き締め姿勢を変えるような状況でもない。金融政策委員会(MPC)委員でもあるピル英中銀チーフエコノミストも11月会合での大幅利上げを示唆している。一方で、足もとの景気指標は弱さが目立っており、金利引き上げは英経済成長の足かせとなるだろう。そうなるとポンドの伸びも限定されてしまう可能性が高い。
加ドルは、26日にカナダ中銀(BOC)の金融政策決定会合を控え、19日に発表される9月加消費者物価指数(CPI)への注目が集まる。8月CPIは前年比7.0%の上昇率と、もともと鈍化が見込まれていたところから更に減速した。もっともマックレムBOC総裁は「国内のインフレ圧力は緩和の兆候を示さず」との見解を示しており、「さらなる利上げは正当化される」と従来からの考えを維持している。次回会合での市場予想は現行の3.25%から3.75%への引き上げ。CPIの結果が予想変更につながるようであれば、加ドルは動意付きそうだ。
10月10日週の回顧
ポンドは、週半ばまでは下値を試す展開。一時的な超長期債買い入れについて、英中銀は予定通り14日終了を譲らず。一部では延長期待が高まっていたため失望売りに繋がり、対円では159円後半、対ドルでも1.09ドル前半まで下落した。しかしながら「トラス首相がミニ予算の方針転換を検討」との報道で一気にポンド買い戻しが強まった。対円では167円前半、対ドルで1.13ドル後半まで上昇した。
加ドルは105円前半で下値を固めて107円前半まで強含んだ。堅調なドル円に支えられた他、リスクセンチメント改善が買いに繋がった。対ドルでは、米金利の急上昇を受けて一時1.39加ドル後半まで弱含んだが、一巡後は1.37加ドル台まで切り返した。
(執筆:10月14日、11:00)
◆英中銀の超長期債買い入れ終了後、市場の動揺が収まるか注視
◆加ドル、9月加CPIに注目、前回は予想以上に鈍化
予想レンジ
ポンド円 162.00-170.00円
加ドル円 105.00-109.00円
10月17日週の展望
ポンドは、不安定な動きが継続しそうだ。クワーテング英財務相が先月下旬に発表した「ミニ予算」とも呼ばれている大型減税を柱とする財政政策は市場に混乱をもたらした。このミニ予算への修正圧力が与党・保守党内からも高まるなか、トラス英首相が計画変更に踏み切れるかがポイント。13日には、一部通信社が「当局者は減税政策の方針を転換すべきか議論している」と報じた。検討されている一つが、「法人税引上げ廃止」の撤回のもよう。報道を受けて財政悪化への懸念が後退し、英長期債は買い戻しが強まり、ポンドも急上昇した。ただ、その後のインタビューでは、クワーテング財務相は「ミニ予算の実現に全力を注ぐ」と発言するに留まっている。
なお、年金基金救済を目的としたイングランド銀行(BOE)による一時的な超長期国債買い入れについて、ベイリーBOE総裁は「予定通り14日で終える」と明言。期限終了を控えて1日辺りの購入額が倍増され、物価連動国債も購入対象になるなど臨時措置が強化された。ただ年金基金のマージンコールは少なくとも3200億ポンドに達すると一部では算出されており、それらを今後も満たすことができるかは不透明。17日以降も英中銀は「適格担保の要件を緩和して現金を投資家へ貸し出す」という新たな枠組みは続けるが、それで市場の動揺が収まるかが注視される。
経済指標では週半ばに9月インフレ指標が発表予定。前回は消費者物価指数(CPI、前年比)が9.9%と11カ月ぶりに伸びが縮小した。もっとも英中銀の引き締め姿勢を変えるような状況でもない。金融政策委員会(MPC)委員でもあるピル英中銀チーフエコノミストも11月会合での大幅利上げを示唆している。一方で、足もとの景気指標は弱さが目立っており、金利引き上げは英経済成長の足かせとなるだろう。そうなるとポンドの伸びも限定されてしまう可能性が高い。
加ドルは、26日にカナダ中銀(BOC)の金融政策決定会合を控え、19日に発表される9月加消費者物価指数(CPI)への注目が集まる。8月CPIは前年比7.0%の上昇率と、もともと鈍化が見込まれていたところから更に減速した。もっともマックレムBOC総裁は「国内のインフレ圧力は緩和の兆候を示さず」との見解を示しており、「さらなる利上げは正当化される」と従来からの考えを維持している。次回会合での市場予想は現行の3.25%から3.75%への引き上げ。CPIの結果が予想変更につながるようであれば、加ドルは動意付きそうだ。
10月10日週の回顧
ポンドは、週半ばまでは下値を試す展開。一時的な超長期債買い入れについて、英中銀は予定通り14日終了を譲らず。一部では延長期待が高まっていたため失望売りに繋がり、対円では159円後半、対ドルでも1.09ドル前半まで下落した。しかしながら「トラス首相がミニ予算の方針転換を検討」との報道で一気にポンド買い戻しが強まった。対円では167円前半、対ドルで1.13ドル後半まで上昇した。
加ドルは105円前半で下値を固めて107円前半まで強含んだ。堅調なドル円に支えられた他、リスクセンチメント改善が買いに繋がった。対ドルでは、米金利の急上昇を受けて一時1.39加ドル後半まで弱含んだが、一巡後は1.37加ドル台まで切り返した。
(執筆:10月14日、11:00)