週間為替展望(豪ドル/ZAR)- RBA、利上げペース鈍化観測高まる

◆豪ドル、米国との金利差拡大への思惑から伸び悩みか
◆11月RBA議事要旨の内容に注目
◆ZAR、対ドルで調整が続くか見極め

予想レンジ
豪ドル円 91.00-96.00円
南ア・ランド円 8.00-8.40円

11月14日週の展望
 豪ドルは伸び悩む展開か。ブロック豪準備銀行(RBA)副総裁は10日に「金利は恐らくもう少し上昇する必要があるが、タイミングや規模は決めていない」「利上げを中断できる段階に近づいている可能性がある」などの見解を示した。RBAの利上げペースが今後鈍化するとの観測が高まっており、米国との金利差拡大への思惑から対ドルでは上値が重くなりやすい。15日には11月開催分のRBA理事会議事要旨の公表が控えている。声明文はそれほどハト派な内容ではなかったものの、議事要旨で12月理事会へのヒントを改めて探っておきたい。なお、市場では現時点で一部据え置きを見込む向きもあるが、25bpの利上げ予想が大勢を占めている。

 来週の経済指標では、15日に11月分のRBA議事要旨が公表されるほか、16日に7-9月期四半期賃金指数、17日に10月雇用統計が発表予定。RBAは前回の声明で「労働市場は依然として非常にタイト」「ここ数カ月は雇用の伸びが鈍化している」「賃金の伸びは、他の多くの先進国よりも低いものの、ここ数年の低水準から回復を続けている」などと言及しており、RBAの想定に沿った内容となるか、豪雇用・賃金状況の進展を確認する必要がある。

 なお、隣国NZからは17日に7-9月期四半期卸売物価指数(PPI)の発表が予定されている。豪ドル/NZドルは10月から豪ドル安・NZドル高の流れが強まっているが、PPIの結果次第では対豪ドルでNZドル買いの動きが加速する可能性もあり、注意したい。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は、対ドルで4月からの下落トレンドが継続中。ただ、足もとでは調整も入りつつあり、目先はZAR買い戻しの調整がどこまで進むかを見極める必要がある。市場では南アフリカ準備銀行(SARB)は次回会合で100bpの利上げを行い、これで米国との累積利上げ幅も同規模程度まで追いつく見通しとなっている。対米金利差という点ではZARの弱気材料も解消されるだろう。もっとも、南アフリカ国内は慢性的な電力不足や公務員協会 (PSA)が実施した大規模ストライキの影響、国営電力会社エスコムが求める電気料金の大幅値上げによって増大する消費者負担など不安材料が蓄積しており、積極的にZAR買いが進むような展開には疑問符が残る。なお、来週は16日に9月小売売上高の発表が予定されているが、相場への影響は限られる見込み。今週同様に米債利回りや株価の動向、投資家のリスク志向などがZARの値動きに影響を与えることになりそうだ。

11月7日週の回顧
 豪ドルは対ドルで荒い値動き。週初から全般にドル売りが進んだ影響で対ドルを中心に強含んでいたものの、その後は株安を受けてリスクに敏感な豪ドルは売りに押される展開となった。もっとも、米消費者物価指数(CPI)の発表後は再び対ドルで豪ドル買いが強まるなど、米指標や金利動向をにらみながら上下した。ZARもドル相場の動向につれて上下する不安定な動き。米CPI後はドルが全面安となった流れに沿って、対ドルで買いが強まった。(了)
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