東京為替見通し=ドル円、今夜の米12月雇用統計待ちで動きづらい展開か

 5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、12月ADP全米雇用報告や米新規失業保険申請件数などが予想より強い結果だったことで、米長期金利の上昇に連れて一時134.05円まで上値を伸ばした。しかし、ブラード米セントルイス連銀総裁発言「2023年にはインフレが緩和するだろう」を受けて132.96円付近まで下押しした。ユーロドルは米長期金利の上昇とともに1.0515ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米12月雇用統計を控えて動きづらい展開が予想される。

 12月米雇用統計の予想は非農業部門雇用者数が前月比+20.0万人で、11月の+26.3万人から増加幅の減少、失業率は3.7%で11月3.7%と変わらず、平均時給が前月比+0.4%、前年比+5.0%で、11月の+0.6%、+5.1%からの低下が見込まれている。しかし、12月のADP全米雇用報告(前月比+23.5万人)やISM製造業雇用指数(51.4)は、堅調な雇用情勢を示しており、ポジティブサプライズに要警戒か。
 パウエルFRB議長は、先月12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、「今後の金融政策決定は入手されるデータ次第であり、ピーク金利はインフレ指標が悪化すれば引き上げられるが、軟化すれば引き下げられる」と述べていた。
 本日の雇用統計では、非農業部門雇用者数だけでなく、賃金インフレを示す平均時給の伸び率に注目することになる。

 12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨に関して、ウォールストリート・ジャーナル紙のFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者が「いつになく無神経な警告文(uncharacteristically blunt words of warning)」と意味深なツイートをしていた。議事要旨では「2023年にFF金利の引き下げ開始が適切になると予想する当局者はいなかった」とのことで、2023年末のターミナルレート(利上げの最終到達点)5.10%(※FF金利5.00-25%)を裏付ける意向が示されていた。

 昨日は、日銀関係筋の話として、17-18日の日銀金融政策決定会合で、変動が大きい生鮮食品を除いた「コア消費者物価指数(CPI)」や生鮮食品とエネルギーを除いた「コアコアCPI」の見通しを引き上げる方向で検討に入った、と報じられている。昨年10月の展望リポートでの2022年度の「コアCPI」の見通しは+2.9%、「コアコアCPI」の見通しは+1.8%だったが、それぞれ引き上げられることが示唆されている。
 ドル円は、日銀金融政策決定会合での物価見通しの上方修正観測により、上値は限定的なのかもしれない。


(山下)
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