東京為替見通し=ドル円は連日の下値トライ失敗で動きづらい、本日は豪CPIに要注目

 海外市場でドル円は、「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はタカ派的な姿勢を示すのではないか」との思惑から、米長期金利の上昇とともにドル買いが先行し一時132.48円まで上昇した。しかしパウエル氏が経済や金融政策について言及しなかったことが伝わると、131.73円付近まで下押しした。もっとも、米10年債利回りが3.63%台まで上昇すると再び132.34円付近まで持ち直した。ユーロドルは1.0759ドルと日通し高値を更新したあとは、米金利上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出て伸び悩んだ。

 本日の東京時間のドル円はレンジ取引となるか。連日131円前半で下値が支えられたことで、大きなニュースがない限りは現行水準からドル売りを仕掛けることが難しい。その反面、欧州通貨やオセアニア通貨に対してドルが軟調地合いを維持していることで、対円だけでドル売りに動くのも難しそうだ。また、昨日発表された東京都区部の消費者物価指数(CPI)が40年ぶりの高水準となったこともあり、来週17-18日の日銀政策決定会合で物価見通しの上方修正が無い場合でも、日本のインフレ高進が明らかなことでドル円の上値を抑えることになるだろう。

 昨日注目されたパウエルFRB議長が参加した討論会では、パウエル氏は「FRBが不人気な決定をしなければならないかもしれない」と発言したが、討論会の議題が「中銀の独立性」についてのものだったこともあり、「不人気な決定=利上げ」という意味ではなく、常識的な見解を伝えたに過ぎなかった。市場ではここ最近の経済指標などについての見解を期待していただけに、明日12日発表される米国の12月CPIの発表までは市場を動意づけることが難しい。なお、CMEのFedWatchでは次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合(1月31-2月1日)での25ベーシスポイント(bp)の引き上げ予想が8割弱となり、この予想は前日とほぼ変化がない。
 
 本日の東京時間で発表される経済指標では、11月の豪CPIに要注目となる。これまで豪州は四半期ベースのCPIしか発表してこなかったが、昨年後半から月次ベースのCPIも発表されるようになった。当初はデータが不足していたこともあり、指標発表後の市場の反応は限定的だったが、徐々に市場が動意づくようになってきている。9日には豪ドルが対ドルで昨年8月後半以来の水準まで上昇していることもあり、本日のCPIは強い結果となった場合への反応が敏感になりそうだ。なお、本邦の12月外貨準備高や11月景気動向指数速報値などが発表されるが、両指標とも市場を動意づけるのは難しいだろう。

(松井)
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