東京為替見通し=円買い介入への警戒感や米金利低下で軟調か、豪CPIにも注目

 25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを減速するとの観測が高まる中、米10年債利回りが一時4.05%台まで急低下したことで147.52円まで下落した。ユーロドルは0.9977ドルまで上昇した。ポンドドルは、スナク新英首相の財政運営への期待感から1.1499ドルまで買われた。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感や12月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げペース減速懸念を受けた米10年債利回りの低下で軟調推移が予想される。米10年債利回りは、先週21日には4.335%付近まで上昇していたが、昨日は一時4.05%台まで低下した。

 21日に米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は「11月のFOMCでは0.75%の利上げを決め、12月に0.50%に利上げペースを落とすかどうかを議論する公算が大きい。一部の当局者は過度な景気悪化を警戒し、利上げ減速や来年早々の利上げ停止を求めている」と報じた。ティミラオス記者は、3月の量的金融緩和の終了と利上げ開始、6月、7月、9月の利上げ幅0.75%を的確に予想してきており、市場の信頼感は高まっている。

 さらに、最近の米国経済指標の悪化傾向が続いた場合、12月FOMCでの利上げ幅の協議は、0.75%か0.50%ではなく、0.50%か0.25%になる可能性も指摘されているようだ。

 一部報道によると、本邦通貨当局のドル売り・円買い介入スタンスが、これまでのような大規模な2-5兆円規模ではなく、小規模な金額で、頻繁に覆面介入(ステルス介入)を行うスタンスに変わる可能性が指摘されている。すなわち、日本銀行の業務局が、イールドカーブコントロール(YCC)の下で、日本国債を買って、円を売る「指し値オペ」を続けているように、財務省が日本銀行の金融市場局を通じて、米国債を売って、円を買う「覆面介入」を続けていくことになる。

 9時30分に発表される7-9月期豪消費者物価指数(CPI)は、前年比+7.0%と予想されており、4-6月期の前年比+6.1%から加速する見込み。CPIが予想を上回った場合、ややハト派に傾きつつある豪準備銀行(RBA)理事会が再びタカ派に戻る可能性が高まることで、要注目か。

 10月のRBA理事会では、予想より小幅となった0.25%の利上げは「微妙なバランス」の決定で、最終的に国内外の不透明感が重視された。そして、+6.1%のインフレ率は高すぎると強調し、家賃や光熱費の上昇を背景に年内に7.75%に向かって加速する可能性が高い、との懸念が示されていた。

 市場では、11月1日の次回理事会で0.25%の追加利上げが見込まれているが、7-9月期のインフレ率が予想を大幅に上回った場合、0.50%の利上げの可能性が高まることになる。

(山下)
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