NY為替見通し=ドル買い地合いは変わらずか、米雇用統計とロシアの核使用に要警戒

 本日のNY時間は、9月の米雇用統計次第の値動きになるだろうが、週末を控えウクライナ情勢の新たな進展にも引き続き要警戒となる。

 米雇用統計の市場予想は、非農業部門雇用者数変化が25.0万人、失業率が3.7%、平均時給は前月比が+0.3%、前年比が+5.1%予想となっている。ここ最近の米連邦準備理事会(FRB)関係者の雇用に関するコメントは、ブラード米セントルイス連銀総裁は「雇用市場は非常に強い」とし、ジェファーソンFRB理事も「雇用市場は非常にタイト」などと発言している。多くのFRB関係者は雇用に関しては警戒する声はほぼなく、仮に今回の指標が市場予想よりも弱かったとしても、米国の雇用情勢の流れが急速に悪くなることは無さそうだ。

 雇用統計で強い結果が発表された場合は、素直にドル買いになるだろうが、弱い結果となった場合も買い場探しは変わらないか。予想比より弱い結果となりドルが売られた場合は、ドル円の介入を警戒(もしくは期待)し、ドル買いを控えていた市場参加者には絶好の買い場を与える可能性がある。為替介入の副作用として、いずれ介入でドルが跳ねたところは売られるという期待があり、実需を含め本来は買わなくてはならない場合も、買い遅れてしまう傾向に陥る。よって、本日は指標後に上下しても、トレンドとしてのドル円の買いは変わらない可能性が高そうだ。

 ウクライナ情勢では、昨日バイデン米大統領が「今の状況が続けば、キューバ危機以来で初めて核兵器使用の脅威に直面する」と発言したことで、ロシアの核攻撃が現実味を帯びてきていることに警戒したい。今年2月にロシア軍がウクライナ侵攻を開始した時も、米国は敢えてロシア軍の進行範囲や時間帯の予想を明確に示し、そのどれもがほぼ正確に当たっていた。これまでの情報戦は隠すことに意義があったが、現在は敢えて詳細を事前に発表し、相手側に情報の正確性を示し圧力を与える傾向だ。今回の核兵器使用の可能性も真実味があり、週末を含めユーロ売り・ドル買いが強まる可能性には要警戒となる。

 なお、米雇用統計発表後に本日はウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁などが講演予定となっていることで、雇用統計後も神経質な動きになりそうだ。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値目途は、9月22日高値145.90円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目途は、5日安値143.53円。

(松井)
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