NY為替見通し=ドル円の買い場探しは変わらず、米金利高・米株高どちらでも円は売られるか

 欧州参入後にドル円は、時間外の米長期債利回りの上昇に連れて、1990年8月以来となる149.65円まで強含んだ。なお、本日を含め10営業日連続で前日の高値を上抜けている。

 ここ数日は米金利低下でも株式市場が堅調な動きを見せたことで、クロス円が底堅く推移し、円売りが進んだ。一方、本日は欧州株・米株先物は小動きだが、米金利が上昇していることで円は売られている。どちらに転んでもドル買い・円売りの流れを止めることができない状況に陥っている。

 政府・財務省が日銀を通して、為替介入というパンドラの箱を開けたのにもかかわらず、介入水準を守ることもできず、何を目的にした介入ということが全く不明な「無責任介入」となった。このことで、円安を止める手段を見つけることが困難になっているだけでなく、本邦実需の買い遅れが深刻になっている。「無責任介入」の影響で為替予約が遅れるなど、日本経済がさらに悪化する状況を財務省が作り出していることも円安を更に進める要因にもなりかねない。

 本日は米国からは先ほど発表されたMBA住宅ローン申請指数以外は、9月米住宅着工件数、同月建設許可件数などの住宅関連指標が発表される。しかし、ここ最近は住宅関連指標で米金利や為替が動くことが稀なことで、市場の反応は限られそう。
 また、米地区連銀経済報告(ベージュブック)も公表される。前回は「物価水準は引き続き非常に高い水準にあるが、9地区は上昇率がある程度緩やかであると報告」「ほとんどの地区では安定した消費支出が報告された」などの見解が示された。前回は公表後も市場の動きは限定的だったが、公表内容が前回から変化が生じた場合にはドル円も動く可能性がありそうだ。

 ベージュブックがサプライズ的な内容の場合には要警戒だが、本日も高値掴み警戒感や、ドル売り介入への警戒感は引き続きあるものの、米金利上昇・米国政府のドル高容認が変わらないことで、ドル円の買い場探しは変わらないか。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値目途は、超えると節目の150.00円や1990年8月14日高値150.34円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目途は、昨日NY参入後は割り込めていない148.89円。介入が入った場合などは昨日安値148.19円。

(松井)
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