週間為替展望(ドル/ユーロ)-欧米金融政策と4月米雇用統計に注目

◆ドル円、0.25%利上げ予想のFOMCと米雇用統計に注目
◆米ISM製造業・非製造業景気指数や金融機関の信用収縮に警戒
◆ユーロドル、0.50%利上げ予想のECB理事会に注目

予想レンジ
ドル円   134.00-138.00円
ユーロドル 1.0800-1.1200ドル 

5月1日週の展望
 ドル円は、5月2-3日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)とパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見を見極めた後、5日に発表される米4月雇用統計で雇用情勢や賃金の動向を見定めることになる。

 5月3日のFOMCでは、0.25%の第10次利上げでFF金利誘導目標が5.00-25%に引き上げられる見通し。もっとも今回で利上げは打ち止めとなり、今後は利上げ継続路線から5.25%をFF金利の誘導目標の上限とするターミナルレート(利上げの最終到達点)にして、インフレを抑制する高金利維持政策に移行することが見込まれている。

 しかしながら、3月の米国中堅銀行の経営破綻、その後の金融機関からの預金流出により、信用収縮への警戒感が高まっているため、FOMC声明文やパウエルFRB議長の記者会見での言及に注目しなければならないだろう。

 さらに、FF金利誘導目標の5.00-25%という高金利政策と、信用収縮への警戒感が高まる中、米国がデフォルト(債務不履行)に陥る「Xデー」が7月に迫りつつあることにも注意が必要だろう。バイデン米政権と下院共和党との債務上限引き上げを巡る鬩ぎ合いにも注意しておきたい。2011年と13年の債務上限引き上げを巡る攻防戦は、FF金利が0.00-25%という低金利の下で行われていたが、今回は高金利のもとでの政治的駆け引きに米国債市場の動揺が警戒されている。

 来週の経済指標では、米4月のISM製造業・非製造業景気指数や雇用統計が公表される。リセッション(景気後退)や、スワップ市場及びFEDウォッチでの利下げ観測の高まりを裏付けるようなネガティブサプライズには注意したい。

 ユーロドルは、5月2日に発表されるユーロ圏4月の消費者物価指数速報値をまずは見極め。その後は4日の欧州中央銀行(ECB)理事会での0.50%追加利上げを確認し、声明文やラガルドECB総裁の会見で利上げ休止の時期への言及に注目したい。

4月24日週の回顧
 ドル円は、米国金融機関の信用収縮への警戒感が高まり、米10年債利回りが3.568%から3.373%まで低下したことで、134.73円から133.02円まで下落。米1-3月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+1.1%へ減速したものの、コアPCEが+4.9%まで上昇したこと、日銀金融政策決定会合で大規模な金融緩和の継続が決定されたことで、136.42円まで上昇した。
 ユーロドルは、ECB理事会での0.50%追加利上げが確実視されているなか、米10年債利回りの低下を受けて、1.0964ドルから1.1095ドルまで上昇した後、米金利の一転上昇を受けて1.0965ドルまで反落した。ユーロ円は148.62円から146.29円まで下落後、日銀金融政策決定会合で大規模な金融緩和の継続が決定されたことで、149.54円まで反発した。(了)
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