週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、米利下げと円安期待の綱引き

◆ドル円、米利下げ観測と根強い円先安観から一進一退
◆金利見通しに大きな影響を与える材料に乏しい
◆ユーロドル、6月利下げはほぼ織り込み済み

予想レンジ
ドル円   153.00-159.00円
ユーロドル 1.0650-1.1000ドル

5月20日週の展望
 ドル円は、米利下げ観測の再燃からドルの上値は重そうだが、円先安観が根強いこともあり一進一退の展開が想定される。

 今週は、3日に付けた151.86円を底に連日で下値を切り上げていただけに、まとまった調整売りが持ち込まれるなど上値の重さが目立った。ただ、根本的な円安トレンドというシナリオに何ら変化は見られておらず、あくまでも調整の域を出ていないといった表現が正しいだろう。下値では、本邦実需勢をはじめ、円先安観を期待するトレーダーの押し目買い意欲は依然として根強いままであり、ドル円の下値は引き続き堅そうだ。もっとも、円相場が市場参加者に注目されているため、今週同様に上下ともに値幅のある動きがあることは想定すべきであり、リスク管理には十分徹底したいところだ。

 また、米国では、最近の低調な労働指標に加え、15日に発表された4月消費者物価指数(CPI)がコア指数ともに前月から鈍化したことを受けて、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が再燃している点は引き続きドルの上値を抑える要因となるだろう。現時点では9月と12月の利下げが大方の予想となっている。ただ、複数の米当局者も発言しているように、利下げ決定には「さらなるインフレ鈍化を確認する必要」があり、「市場の予想はやや先走っている」との声も聞かれている。なお、来週は22日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、23日に5月購買担当者景気指数(PMI)速報値、24日に4月耐久財受注や5月ミシガン大学消費者態度指数・確報値など、米金利見通しに大きく変化を与えるような材料には乏しい。

 ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)の6月利下げをほぼ市場は織り込み済みであり、すでに6月以降の金利動向に注目が移っている。そのため、新たな材料が出ない限りは利下げ観測を背景としたユーロ売りには限界がありそうだ。基本的には米金利動向を睨んだドルの上下に左右されることになるだろう。

5月13日週の回顧
 ドル円は、週前半は底堅く推移し一時156.74円まで上昇したものの、その後は持ち高調整の売りが優勢となった。4月米小売売上高など弱い米経済指標をきっかけに米長期金利が急低下したことも売りを促し、16日の東京市場では一時153.60円まで売り込まれた。ただ、一巡後は押し目買いが強まる展開に。強い4月米輸入物価指数を受けて米金利が上昇したことも買いを促し、一時155.53円まで持ち直した。

 ユーロドルは米長期金利の低下などを手掛かりに買いが強まる展開となった。週後半には一時1.0895ドルと3月21日以来、約2カ月ぶりの高値を付けた。(了)
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