予想とまとめ

週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、先行き不透明感深まる
2025/03/29 03:40
◆トランプ関税への警戒感は払拭されず、相場全般のリスクオン・オフで変動
◆ポンド、英経済成長見通し引き下げられ先行き不透明感は深まったまま
◆加ドル、米加関係は改善の兆し感じられず

予想レンジ
ポンド円 192.50-198.50円 
加ドル円 103.50-107.50円 

3月31日週の展望
 来週もトランプ関税への警戒感は払拭されず、相場全般のリスクオン・オフでポンドや加ドルは変動する可能性が高い。また週前半は日本の年度末と年度始めを挟むため、本邦実需勢から持ち込まれるフローで上下させられる場面もありそうだ。

 英国からは、3月製造業及びサービス部門の購買担当者景気指数(PMI)改定値が発表予定。速報値ではそれぞれ、45割れと53超えだった。今週、予算責任局(OBR)が2025年経済成長率見通しを従来2%から1%に引き下げた後でもあり、速報値で市場予想を下回った製造業PMIを注意したい。一層弱い結果となれば、先行きに対する悲観的な見方がポンドの重しとなるだろう。

 OBRは25年インフレ率見通しも公表。平均3.2%とした。この予想は、昨年10月に市場を驚かせた大幅な上方修正(平均1.5%から2.6%)から更に加速した値。今年の見通しで、成長率が下振れた一方でインフレ率が上振れたのは、やはりトランプ関税に起因するもの。不確実性が高いため市場も予測しづらく、今後も経済全体の先行き不透明感は深まったままだろう。

 なお、足もとの英インフレは減速していた。今週発表された2月消費者物価指数(CPI)は前年比2.8%、コアCPIが3.5%とそれぞれ前回より0.1ポイントの鈍化予想をさらに下回った。これを受けて、市場では次回5月の英中銀会合で追加利下げを見込む向きが増えている。ただし、英中銀が注視しているサービス部門のインフレ率は高止まりしており、「次の一手」を見通すためには4月半ばに発表される3月英CPIを確認する必要がありそうだ。

 加ドルは依然として、米政権の関税強化策がカナダ経済に与える影響を見極めながらの取引となりそうだ。トランプ米大統領は今週、輸入自動車に25%の関税をかける大統領令に署名した。ただ、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠した自動車部品は当面免除される。もっともカナダの自動車輸出は米国向けが主であり、高率な関税による自動産業へのダメージは避けられないだろう。カナダはすでに総額1550億加ドルの報復関税パッケージを発表しているが、カーニーカナダ首相は追加の報復措置を取る意向を示した。

 カナダは総選挙を4月28日に控えており、今後、支持率を高めるためにもトランプ大統領との対立度合を強めていくのではないか。改善の兆しが感じられない米加関係を、市場がどのように判断するのかを見定めることになる。

3月24日週の回顧
ポンドや加ドルは対円で買いが先行。前週末にトランプ米大統領が相互関税について「柔軟性がある」との考えを示し、週明けも「多くの国に猶予を与えるだろう」と発言すると、リスク回避の巻き戻しが進んだ。新たな自動車関税発表で緩む場面はあったものの、一巡後はポンド円が196円手前、加ドル円が105円後半まで上昇した。

 ポンドドルは1.30ドル手前まで買われる場面があった。2月英CPIの鈍化で下押す場面はあったが、1.28ドル後半では支えられた。加ドルは対ドルで1.4230加ドル台まで加ドル高に振れた後は1.43加ドルを挟み上下した。

国内イベントスケジュール

2025/03/31 06:15
31日
08:502月鉱工業生産速報
08:502月商業販売統計速報(小売業販売額)
14:002月新設住宅着工戸数
19:00外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
1日
08:302月完全失業率
08:302月有効求人倍率
08:50日銀・企業短期経済観測調査(短観、3月調査)
2日
08:503月マネタリーベース
3日
08:50対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
4日
08:302月家計調査(消費支出)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

海外イベントスケジュール

2025/03/31 06:30
31日
09:003月ANZ企業信頼感
10:303月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)
15:002月独輸入物価指数
15:002月独小売売上高
17:00パネッタ伊中銀総裁、講演
17:00ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
17:302月英消費者信用残高
17:302月英マネーサプライM4
21:002月南アフリカ貿易収支
21:003月独消費者物価指数(CPI)速報値
22:453月米シカゴ購買部協会景気指数
欧州・英国は30日から夏時間に移行済み
シンガポール(ハリラヤプアサ)、インド(イスラム教断食明け祭)、トルコ(砂糖祭)、休場
1日
09:302月豪小売売上高
10:453月Caixin中国製造業PMI
12:30豪準備銀行(RBA)政策金利発表
15:003月英ネーションワイド住宅価格指数
15:302月スイス小売売上高
16:303月スイス製造業PMI
16:503月仏製造業PMI改定値
16:553月独製造業PMI改定値
17:003月ユーロ圏製造業PMI改定値
17:15グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
17:303月英製造業PMI改定値
18:003月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値
18:003月ユーロ圏HICPコア速報値
18:002月ユーロ圏失業率
21:30ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
22:453月米製造業PMI改定値
23:002月米建設支出
23:003月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数
23:002月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数
24:003月メキシコ製造業PMI
2日
01:30レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演
06:452月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
09:302月豪住宅建設許可件数
16:003月トルコ製造業PMI
19:30シュナーベルECB専務理事、講演
20:00MBA住宅ローン申請指数
21:153月ADP全米雇用報告
23:002月米製造業新規受注
23:30EIA週間在庫統計
3日
01:002月ロシア失業率
トランプ米大統領、「相互関税」発表
07:00ブロックRBA総裁、議会証言
09:302月豪貿易収支
10:453月Caixin中国サービス部門PMI
15:303月スイスCPI
16:003月トルコCPI
16:503月仏サービス部門PMI改定値
16:553月独サービス部門PMI改定値
17:003月ユーロ圏サービス部門PMI改定値
17:303月英サービス部門PMI改定値
18:002月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)
20:30ECB理事会議事要旨(3月6日分)
20:303月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
21:302月カナダ貿易収支
21:302月米貿易収支
21:30前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
22:453月米サービス部門PMI改定値
22:453月米総合PMI改定値
23:003月米ISM非製造業指数
4日
01:00ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
14:453月スイス失業率(季節調整前)
15:002月独製造業新規受注
15:452月仏鉱工業生産
15:003月スウェーデンCPI
17:303月英建設業PMI
21:303月カナダ雇用統計
21:303月米雇用統計
5日
00:25パウエルFRB議長、講演
03:003月ブラジル貿易収支
中国、香港(清明節)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
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