週間為替展望(ドル/ユーロ)-米利上げ期待でドル買いの流れ

◆ドル円、米利上げ期待から底堅い地合い
◆雇用統計をはじめ、米重要指標が相次ぐ
◆ユーロドル、ターミナルレートが意識され上値は重い

予想レンジ
ドル円   137.00-143.00円
ユーロドル 1.0500-1.0950ドル

5月29日週の展望
 ドル円は、米債務上限交渉を巡る報道に一喜一憂しながらも引き続き底堅い展開が想定される。米金利見通しとしては、執筆時点で6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利上げを5割程度まで市場が織り込む状況になっている。また、FOMCメンバーでもタカ派として知られているウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が「6月会合で利上げを見送る可能性はあるものの、利上げ局面を終了する公算は小さい。その場合、7月会合での利上げに傾くことになるだろう」と述べ、仮に金利が据え置かれたとしても、次回7月会合で0.25%利上げを予想する声が多くなっており、米利上げ期待を背景としたドル買いの流れは継続する可能性が高い。

 また、米金利見通しと同様に市場の注目となっているのは米債務上限問題。米政府の資金が底をつく、いわゆる「Xデー」としてイエレン米財務長官が繰り返し言及している6月1日を来週に迎えることになる。米格付け会社フィッチが「債務上限交渉の難航を背景に米国の格付け見通しを引き下げる可能性」に言及したが、為替相場の反応は一時的だった。この動きを鑑みるに、市場ではこの問題に関してすでに「出来レース」と捉えている向きも多い模様。最悪の事態が実際に実現しない限り影響は限定的となりそうだ。

 なお、来週は30日に5月消費者信頼感指数、31日に4月雇用動態調査(JOLTS)求人件数、6月1日に5月ADP雇用統計や5月ISM製造業景況指数、6月2日に5月雇用統計と米重要指標が目白押し。また、FOMC前に政策に対する発言が禁じられている、いわゆるブラックアウト期間(6月3日(日)~)前の最終週となる為、要人発言などにも注目したい。

 ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)の利上げ期待が徐々に後退するなか、米利上げ期待の継続と相まって上値の重い展開が予想される。今週はナーゲル独連銀総裁が「数回の利上げが必要」と述べたほか、ビルロワドガロー仏中銀総裁が「今後3回で利上げ停止もあり得る」と発言するなど、ECBのターミナルレート(最終到達点)が指摘された。

5月22日週の回顧
 ドル円は、週明けの東京市場で137.50円まで下押ししたものの、日経平均株価が約33年ぶりに3万1000円台を回復する堅調な動きを見せると買い戻しが優勢に。米長期金利の上昇なども支えに翌23日には一時138.91円まで上値を伸ばした。その後、しばらくは節目の139円を前に足踏み状態が続いたが、米当局者からのタカ派的な発言をきっかけに米金利が上昇すると買いが強まり、25日には一時140.23円と昨年11月23日以来の高値を更新した。

 ユーロドルは米利上げ期待を背景に米長期金利が上昇したため売りが優勢となった。目立った反発も見られないまま、一時1.0707ドルと3月21日以来の安値を付けた。(了)
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