株式明日の戦略-週明けから強い上昇、中小型株にも物色の矛先が向かう

 12日の日経平均は続伸。終値は168円高の32434円。米国株の上昇を受けて、3桁上昇スタート。寄り付き近辺でしばらく揉んだ後、じわじわと上げ幅を広げた。心理的節目の32500円を上回ったところでは買いが一巡したが、前場では高値圏を維持した。昼休みを挟んで後場のスタート直後には、急速に値を消す場面があった。しかし、マイナス圏に沈むかというところでこれを回避して切り返すと、再び上げ幅を3桁に拡大。32400円台を回復した後は値動きが落ち着いた。新興銘柄が強く、マザーズ指数が3%を超える上昇。TOPIXとマザーズ指数が年初来高値を更新した。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆0400億円。業種別では精密機器、医薬品、パルプ・紙などが上昇した一方、海運、銀行、鉱業などが下落した。上期が大幅な増収増益となり、会社計画も上振れたトビラシステムズ<4441.T>が急騰。半面、今期の減益計画がネガティブサプライズとなったアスカネット<2438.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1440/値下がり336。ソシオネクストが全市場の売買代金2位となる大商いで4%を超える上昇。アドバンテスト、キーエンス、三菱重工などに強い動きが見られた。グロース系銘柄の物色が盛り上がっており、メルカリやANYCOLORが大幅上昇。太平洋セメントや日本板硝子など素材系の銘柄の一角が買いを集めた。上方修正と増配を発表した鳥貴族HDが10.3%高。今期の大幅増益計画や優待導入決定など好材料が多かったHEROZがストップ高比例配分となった。

 半面、川崎汽船など海運株が大幅安。大手3社がそろってコンテナ船事業会社からの配当金受領を発表したが、材料出尽くし感が強まった。仕組み債の販売で悪質な販売を行っていたと報じられた千葉銀、武蔵野銀が売りに押されており、他の銀行株も軟調に推移するものが多かった。決算が失望を誘ったポールトゥウィンやgumiが大幅安。新株予約権の発行が嫌気されたマースGHDが急落した。

 日経平均は続伸。後場に失速があり伸び悩んだ印象があるものの、寄り付き(32412円)を上回って3桁の上昇。終日5日線(32152円、12日時点)より上で推移した。TOPIXとマザーズ指数が年初来高値を更新しており、日経平均も今週どこかで6月6日の高値(32506円、終値ベース)を更新するだろうという期待が高まった1日。米国ではあす13日からFOMCが開催されるほか、5月消費者物価指数(CPI)も13日に発表される。これらを前に、大型株は短期的に手がけづらさが意識されるかもしれない。ただ、その場合でも中小型株が物色されることで、日本株のブル基調は継続するだろう。あすは久々にIPOが予定されており、ニューカマーが全体のリスク選好ムードをもう一段高める展開も期待できる。
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