週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、CPIとMPCに注目

◆金融政策の格差を意識した円安の流れが続く
◆ポンド、5月CPIとMPCに注目
◆加ドル、BOCの引き締めが支えもドルや円、原油相場に左右

予想レンジ
ポンド円 176.00-182.00円
加ドル円 104.00-108.00円

6月19日週の展望
 今月に入り、豪準備銀行(RBA)やカナダ中銀(BOC)が予想外に利上げを再開。欧州中央銀行(ECB)も予想通りに利上げを継続した。米連邦準備理事会(FRB)は利上げをいったん停止も今年中にあと2回の利上げ可能性を示唆するなど、主要中銀がインフレ高への懸念を強め、引き締め姿勢が長引く可能性が高まった。日銀との金融政策の格差が改めて意識されている。株も好調を維持しており、本邦の円安けん制を除けば円買い材料に乏しく、全般円安の流れは続きそうだ。

 来週、英国では21日に5月の消費者物価指数(CPI)、22日にイングランド銀行(英中銀、BOE)の政策金利と英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨の公表が予定されている。市場では0.25%の利上げを完全に織り込み、年末にかけて利上げを継続するとの見方が強まっており、5月CPIの結果やMPC議事要旨の内容に注目が集まる。
今週発表の2-4月失業率は3.8%に低下。ボーナスを除く平均賃金の伸びは7.2%まで加速した。4月GDPは前月比+0.2%と3月の-0.3%から持ち直し、コロナ禍前の2020年2月比では+0.3%となった。ハント英財務相は「高成長には低インフレが必要で、家計を守るためにはインフレ率を今年半減させる計画を維持しなければならない」と訴えた。BOEが政策金利をより高く、より長く維持する可能性が強まり、英景気後退は避けられない状況。景気減速への懸念が強まりそうだ。

 加ドルは、来週、4月小売売上高の発表程度で大きな動意につながりそうな手がかりは乏しい。今週の金融政策イベントを通過したドルや円の動きに左右される相場展開が見込まれる。ただ、BOCが今月の会合で予想外に利上げを実施し、インフレ高への警戒感を強めたことは引き続き加ドルの下支えとなるだろう。ポール・ビュードライBOC副総裁は「政策金利が将来的にパンデミック前の水準を上回り続ける可能性が高い」と警告。更には「これまで金利を低く抑えてきた経済の構造的要因が変化しつつある」とし、「構造的に金利が上昇する新時代に突入した場合に備えて十分準備しておく必要がある」との見解を示している。

 また、産油国通貨である加ドルの大きな変動要因の一つである原油相場の動きにも注意しなければいけない。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の協調減産姿勢が原油相場の支えとなっているが、エネルギー消費大国である中国などの景気鈍化懸念などで上値も重くなっている。加えて、国際エネルギー機関(IEA)は電気自動車(EV)の普及などで世界の石油需要の伸びが2028年までに劇的に鈍化するとの見通しを示している。

6月12日週の回顧
 ポンドはしっかり。英雇用・賃金データの強い結果を受けて、ポンドドルは1.28ドル台まで高値を更新した。今月にBOCが予想外の利上げに踏み切ったことを支えにドル/加ドルは1.32加ドル近辺まで加ドル高となった。また、日銀と主要国の金融政策格差を背景に、ポンド円は2015年12月以来の181円台まで上昇。加ドル円は106円後半まで強含んだ。(了)
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