東京為替見通し=ドル円、上値重い展開か 米長期金利の伸び悩みで

 21日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、パウエルFRB議長の議会証言でのタカ派な発言を受けて142.36円まで上昇したものの、質疑応答でのハト派的な見解を受けて141.68円付近まで反落した。ユーロドルは1.0991ドルまで上昇、ユーロ円も155.92円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、パウエルFRB議長の議会証言を受けて米10年債利回りが3.72%付近で伸び悩んでいることで、上値が重い展開が予想される。

 ドル円は昨日142.36円まで続伸し、昨年11月11日の高値142.48円や151.95円(2022年10月21日高値)から127.23円(2023年1月16日安値)までの下落幅のフィボナッチ・リトレースメント61.8%戻しの142.51円に迫った。
 ドル円は高値を更新し続けているものの、相対力指数(RSI)が高値を更新できない「弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)」が出現しつつあることには警戒しておきたい。

 また、142.50円には大口のNYカットオプションが控えており、ガンマロングの売り圧力がドル円の上値を抑制している。

 本邦通貨当局は、昨年9月と10月にボラティリティー(過度な変動)を抑制するという名目で、ボリンジャー・バンド+2σ付近でドル売り・円買い介入を断行しており、本日(※+2σは142.27円付近)も引き続き警戒していくことになる。一昨日の142円台では、鈴木財務相が「為替動向を『注視』。必要であれば適切に対応」と述べ、西村経産相が「過度な変動・投機的な動きはしっかりと『注視』」と述べ、『注視』の段階に留まっている。本邦通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切る場合は、「断固たる措置」という警告が発せられるため、鈴木財務相や神田財務官の発言内容を見極めつつ、「神田シーリング」を探っていくことになる。

 パウエルFRB議長の米下院金融サービス委員会での金融政策に関する半期に一度の証言では、タカ派とハト派が入り混じる内容だった。
 タカ派的見解は、「今月は利上げ休止を決定したものの、FRB当局者は金利はまだ上昇する必要があるとの見解で一致している」とのことで、ドット・プロット(金利予測分布図)が示唆してしるように、タカ派的スキップ(見送り)に続く、年内2回(0.25%x2)の利上げが示唆された。
 ハト派的見解は、「より緩やかなペースで金利を引き上げるのが合理的かもしれない」というもので、米10年債利回りは3.7%台、米2年債利回りは4.7%台で伸び悩んだ。
 
 そして、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、7月FOMCで5.25-50%へ利上げ、そして、9月、11月、12月FOMCでは据え置き確率が高まったままであり、年内1回の利上げだけを示唆している。



(山下)
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